2000 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内mRNAのプロセシングと輸送の1分子蛍光イメージング
Project/Area Number |
11480196
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
船津 高志 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (00190124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 時雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (80197516)
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Keywords | mRNA / 1分子イメージング / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
mRNAの核から細胞質への輸送は、真核生物の遺伝子発現において重要な過程であるが、末端修飾やスプライシング等のプロセシングと輸送の関わりについてなど、そのメカニズムについては不明な点が多い。これを明らかにするための第一歩として、細胞の核内におけるmRNA1分子の動きと局在を共焦点顕微鏡でビデオ観察した。 [方法] mRNAのラベル方法として、次の2つの方法を用いた。(1)ヒトβ-globin部分遺伝子のmRNA(540塩基、2つのエキソン、1つのイントロン、cap、polyAを含む)を調製し、平均10〜15分子のCy3で蛍光標識した。(2)1分子のテトラメチルローダミン(TMR)が結合しているオリゴDNA「TMR-S-Oligo-dT」(内在性のmRNAに結合する)を調製した。それぞれを核にマイクロインジェクションし、蛍光像をビデオレートで観察した。細胞内の蛍光分子を局所励起するため、共焦点顕微鏡を用い、YAG2倍波(532nm)を励起光源として、ICCDで観察した。 [結果] 核内でのmRNA1分子の動きを観察することができた。mRNAは「動いているもの」、「止まっているもの」が、それぞれ50%の割合で観察された。止まっているmRNAは平均30秒で動き始めた。動いているmRNAの運動を解析したところ、平均の拡散定数は0.2[μm^2/s]でブラウン運動していた。この値は、水溶液中で測定した値の約1/24であった。一方、オリゴdTによりラベルしたmRNAについても同様の解析を行ったところ、同じようなブラウン運動が観察された。いずれもmRNAの核内輸送が能動的な輸送でなく拡散によることを支持する結果となった。
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[Publications] Wazawa,T. et al.: "Spectral Fluctuation of a Single Fluorophore Conjugated to a Protein Molecule."Biophysical J. 78. 1561-1569 (2000)
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[Publications] Tashiro,K. et al.: "Design and simulation of particles and biomolecules handling micro flow cells with three-dimensional sheath flow."Micro Total Analysis Systems 2000. 209-212 (2000)
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[Publications] 田口英樹 ら: "シャペロニンとGFPフォールディング"生物工学会誌. 78. 384-386 (2000)
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[Publications] Beales,M. et al.: "Mutations in the large subunit of U2AF disrupt pre-mRNA splicing, cell cycle progression and nuclear structure."Yeast. 16. 1001-1013 (2000)