2000 Fiscal Year Annual Research Report
LIMキナーゼによるアクチン細胞骨格の制御機構の解明
Project/Area Number |
11480213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70128396)
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Keywords | LIMキナーゼ / コフィリン / アクチン細胞骨格 / Rho / Rac / TESK / インテグリン |
Research Abstract |
細胞外刺激に感応した細胞骨格系のダイナミックな再構築は、細胞の形態変化、運動、分裂など細胞の基本活動において重要な役割を果たしているが、その応答機構の多くは不明である。本研究では、私達が同定した新規プロテインキナーゼ、LIMキナーゼ(LIMK)、及びその類縁キナーゼであるTESKのシグナル経路を中心として、アクチン細胞骨格の再構築を制御する分子機構の解明を目的として、以下の研究成果を得た。 1.LIMK1はRacの下流因子PAKおよびRhoの下流因子ROCKにより活性化されることが知られているが、本研究において、LIMK2も同様にPAKとROCKによってThr-505のリン酸化によって活性化されることを明らかにした。また、LIMK2がコフィリン/ADFのリン酸化を介してストレスファイバーや膜泡の形成や接着斑の形成に関与することを明らかにした。 2.TESK1はLIMKと同様にコフィリンのSer-3をリン酸化し、細胞に高発現させると、ストレスファイバーの形成、接着斑の形成などアクチン骨格の再構築が誘導されることを見い出した。TESK1はLIMKとは異なり、ROCK、PAKによって活性化されないが、インテグリンシグナルによって活性化されることを見い出した。 3.ハエのLIMKを同定し、アクチン再構築を促進することを見出し、LIMK経路が無脊椎動物においても保存されていることを明らかにした。 4.脊髄後根神経節細胞のセマフォリンによる突起退縮において、LIMKによるコフィリンのリン酸化が重要な役割を果たしていることを解明した。 これらの成果は、LIMK/TESK経路が細胞骨格の制御を介して多くの細胞機能に重要な役割を果たしていることを明確に示している。今後はこれらの成果に基いて、LIMK/TESK経路の時間的空間的制御機構ならびに細胞の形態と運動性の制御におけるLIMK/TESK経路の役割を解明することが重要である。
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[Publications] K.Ohashi, et al.: "A Drsophila homolog of LIM-kinase phosphorylates cofilin and induces actin cytoskeletal reorganization."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 276. 1178-1185 (2000)
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[Publications] H.Bito, et al.: "A critical role for a Rho-associated kinase, p160ROCK, in determiningaxon outgrowth in mammalian CNS neurons."Neuron. 26. 431-441 (2000)
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[Publications] T.Amano, et al.: "LIM-kinase 2 induces formation of stress fibers, focal adhesions and membrane blebs, dependent on its activation by Rho-associated kinase."Biochem.J.. 354. 149-159 (2000)
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[Publications] J.Toshima, et al.: "Cofilin phosphorylation by protein kinase TESK1 and its role in integrinmediated actin reorganization and focal adhesion formation."Mol.Biol.Cell. 12(印刷中). (2001)
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[Publications] H.Aizawa, et al.: "Phosphorylation of cofilin by LIM-kinase is necessary for semaphorin 3A-induced growth cone collapse."Nature Neurosci.. 4(印刷中). (2001)
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[Publications] 十島二朗,水野健作: "基礎生化学実験法 第3巻 タンパク質 II.機能・動態解析法"東京化学同人(印刷中). (2001)