2001 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質第一次視覚野のシナプス可塑性におけるセリンプロテアーゼの役割について
Project/Area Number |
11480243
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
HENSCH Takao 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, チームリーダー(研究職) (60300878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 宣明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (20224173)
俣賀 宣子 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 専門職研究員 (20209464)
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Keywords | プラスミノーゲンアクチベーター / グルタミン酸脱炭酸酵素 / 感受性期 / 単眼遮蔽 / 眼優位可塑性 / 両眼性領域 / 第一次視覚野 / 遺伝子欠失変異マウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)の大脳皮質第一次視覚野(VC)におけるシナプス可塑性への関与について検討することにある.本年度は、初めにシナプスの可塑的形態変化に伴うtPA動脈を詳細に検討する目的でVCにおけるtPA活性の解析を続行した.まず、野生型マウス(WT)のVC両眼性領域(BZ)におけるtPA活性の生後発達における動態を調べると、生後直後に最も高く成熟まで減少傾向を示すtPA mRNAおよび蛋白の変化とは異なり、tPA活性は感受性期の直前にピークを迎えることがわかった.次に、単眼遮蔽におけるtPA活性の変化を調べると、遮蔽2〜4日後に両側のBZにおいてtPA活性が有意に上昇するのは感受性期内のWTのみであり、可塑性レベルが低下したtPAヘテロ接合体(Het)、グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子欠失変異マウス(GAD65 KO)および成熟WTにおいてはこの変化が認められないことがわかった.さらに、この可塑性にtPA自身が関与していることの確認と、可塑性を制御している興奮・抑制入力のバランスの下流にtPAが位置するかどうかを明らかにするために、tPA KOおよびGAD65 KOマウスにtPAを投与することでVCの眼優位可塑性をWTレベルまで回復できるかどうかを調べた.1週間のリコンビナントtPA(E6010,90IU/1.5μl)の脳室内投与はいづれのKOマウスにおいても単眼遮蔽の効果を高めた.これらすべての結果から、GABAとtPAは同じ細胞内情報伝達経路を介し、可塑性を制御している可能性が示唆された.現在、シナプス再編成時にいかにtPAが関わるか、また、VCにおいてtPAの基質となる因子は何か探索を始めたところである.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mataga, N., Fujishima, S., Nagai, N., Hensch, T.K: "Physiological tissue-type plasminogen activator levels for experience-dependent"Society for Neuroscience. B-25 (2001)