1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11480247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 香織 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00276213)
恒成 隆 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30286439)
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Keywords | 苦味 / Na電流 / K電流 / 味細胞 / 電気的結合 / 茸状乳頭 / 味壺 / カエル |
Research Abstract |
視覚や嗅覚受容機構に比べ、味覚受容機構には未解決の問題が多い。味蕾はどのような細胞によって構成されているのか、それぞれの細胞はどのような電気生理学的な特性をもっているのか、どの細胞が味覚受容細胞でありどのような味刺激に応答するのか、どの細胞が支持細胞や分泌細胞なのかなど、基本的な問題にも十分な解答は出されていない。その理由の一つとしてこれまでの生理学的研究が単離細胞について行われてきたことにある。単離細胞では形態学的な同定が困難なうえ、味蕾の中でどこに存在したのかが分からない。本年度は、まず味細胞の形態と反応性との対応を検討するため、カエル茸状乳頭のスライス標本を作成し、ホールセルパッチクランプ法による応答記録後に、細胞内染色された細胞の形態を観察し、各細胞の生理学的な特性と形態との対応付けを行った。乳頭の最表層に位置する粘液細胞間にはダイカップリングが見られ、電気的結合の存在を示唆した。粘液細胞からは抵抗性のリーク電流のみが記録された。乳頭中層の上部に細胞体のあるWing型細胞は粘液細胞からの隙間から乳頭表面に向けて先端が矢羽状の太い樹状突起を伸ばしていた。この細胞はNa電流とK電流を持ち、活動電位の発生も見られた。Rod型細胞の細胞体は乳頭の中層下部に位置し細い樹状突起を乳頭表面に伸ばしていた。この細胞もNa電流とK電流を持っていたがWing型細胞に比べNa電流の振幅は有意に小さかった。Wing型細胞はキニーネに応答したが、Rod型細胞と粘液細胞での応答は見られなかった。以上の結果から、シナプス構造が認められていないため支持細胞であるとされてきたWing型細胞は味受容細胞であろうと結論した。Rod型細胞はキニーネには応答しなかったが、他の味刺激には応答する可能性もある。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Tsunenari T: "Activation by bitter substances of a cationic channel in membrane patches excised from the bullfrog taste receptor cell"J Physiol. 519. 397-404 (1999)
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[Publications] Kaneko A: "Retinal mechanism of the lateral inhibition and directional selectivity:An old question asked again now"FAOPS Newsletter. 8. 3-5 (1999)
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[Publications] Watanabe S-I: "Tetrodotoxin-sensitive persistent current boosts the depolarization of retinal amacrine cells in goldfish"Neurosci Lett. 278. 97-100 (2000)
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[Publications] Kaneko A: "A novel mechanism of bitter taste transduction"Korean J Physiol Pharmacol. 3. 455-459 (1999)
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[Publications] Kaneda M: "Modulation by Zn^<2+> of GABA responses in bipolar cells of the mouse retina"Visual Neurosci. 17. 1-9 (2000)
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[Publications] 倉橋 隆: "「香り」の受け方が体内ホルモンの変動によって影響を受ける:アドレナリンを一例にその分子機構と生理学的意味"蛋白質核酸酵素. 44. 2591-2595 (1999)
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[Publications] Aoki K: "Role of Polysialic acid on outgrowth of rat olfactory receptor neurons"Mech Dev. 85. 103-110 (1999)
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[Publications] 竹内裕子: "ウシガエルの味蕾を構成する細胞の形態と電気生理学的特徴"日本味と匂学会誌. 6. 523-524 (1999)
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[Publications] Kaneko A: "The Retinal Basis of Vision"Elsevier Science,Amsterdam. 290 (1999)