2000 Fiscal Year Annual Research Report
自己秩序化高分子微粒子と生体高分子との最適ハイブリッドによる医用材料
Project/Area Number |
11480259
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
明石 満 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20145460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 武 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (30284904)
馬場 昌範 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70181039)
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Keywords | 高分子微粒子 / 糖鎖 / タンパク質 / レクチン / ポリスチレン |
Research Abstract |
糖鎖とタンパク質の相互作用は、近年、多くの分野で研究がなされている。その中で、集積した糖鎖のタンパク質による認識はクラスター効果としてその認識が増大することが知られている。本年度は、まず、サイズ、表面密度を自由にコントロールできる自己秩序化高分子微粒子上に分子認識能をもった糖鎖の固定化と、その認識性について解析した。グルコースを有するモノマーによりマクロモノマーを調製し、そのマクロモノマーを用いてグルコースを表面に集積させた高分子微粒子を合成した。その高分子微粒子のタンパク質認識性について、レクチンを用いた粒子凝集による濁度評価およびEnzyme Linked Lectin Assays法による評価を行った。マクロモノマーとスチレンの両比を一定にしてモル濃度を変化させると、粒径が数100nmの高分子微粒子を得た。ナノスフェア中の糖含量をアントロン硫酸法により測定し、ナノスフェア表面における糖導入量を計算した。さらに、糖結合ナノスフェア分散液にレクチンを添加すると、レクチンによってナノスフェアが凝集・沈降して透明になる現象が観察された。また、フリーの糖添加によりその挙動が阻害された。ELLA法による結果、糖の認識性は、単糖と比較して数百倍増加したが、ナノスフェア表面糖鎖密度の増加に伴い、糖鎖認識性は減少する事が示唆された。以上より、糖鎖を有する高分子微粒子が調製でき、その糖鎖はタンパク質により認識される事が明らかとなり、ベロ毒素捕捉システム構築の基礎的知見が得られた。 また、タンパク質吸着を抑制する高分子を表面に有する高分子微粒子の調製を行った。Poly 2-metha cryloyloxyethyl phosphorylcholine [Poly(MPC)]のマクロモノマーを合成し、スチレンとグラフト共重合することで、表面にPolyMPCを有する高分子微粒子を得た。この微粒子は、先の糖を有する微粒子と組み合わせることにより(つまり最適ハイブリッド)、より高い特異性が期待される。 さらに、エイズウイルス捕捉材料として、ポリスチレンコアーポリメタクリル酸コロナの高分子ナノスフェアを合成し、コンカナバリンAを水溶性カルボジイミドを用いて固定化した。このナノスフェアを用いて効率良くエイズウイルス捕捉が達成されていることが明らかになった。また、ワクチンへの展開を開始した(国際会議において口頭発表を行った)。
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[Publications] T.Serizawa,S.Yasunaga,M.Akashi: "Synthesis and Lectin Recognition of Polystyrene Core-Glycopolymer Corona Nanospheres"Biomacromolecules. (in press).
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[Publications] T.Uchida,T.Furuzono,K.Ishihara,N.Nakabayashi,M.Aksashi: "Graft Copolymers Having Hydrophobic Backbone and Hydrophilic Branches XXX.Preparation of Polystyrene Core Nanospheres Having a Poly (2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine) Corona"J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.Ed. 38. 3052-3058 (2000)
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[Publications] M.Akashi,M.Ueno,T.Niikawa,S.Takehara,T.Serizawa,M.Kawamura,T.Hayakawa,M.Okamoto,and M.Baba: "Biomaterials and Drug Delivery toward New Millennium"K.D.Park,I.C.Kwon,N.Yui,S.Y.Jeong and K.Park. 8 (2000)