1999 Fiscal Year Annual Research Report
企業の新事業戦略構築に資する新産業創出過程の基礎的研究
Project/Area Number |
11490005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 文雄 東京大学, 先端経済工学研究センター, 教授 (20016538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄場 公規 東京大学, 先端経済工学研究センター, 助手 (80313039)
|
Keywords | 新産業 / 新規事業 / ITS / 技術融合 / 需要表現 |
Research Abstract |
近年、各企業は新規事業展開をどのように展開するかが、経営の最重要課題となっている。しかしながら、企業の新規事業戦略を考える上で基礎となる「新規産業の創出過程」については、ほとんどが分析されていない。そこで、本研究は、従来の新産業分析に欠落していた要素を整理し、再統合することにより新たなイノベーションプロセスを提示し、企業の事業戦略を構築するための分析フレームワークを提示することを目的としている。 本年度の主要な成果として、ITS産業に関する研究がある。ITS産業は、2015年に60兆円の市場規模が期待される新規産業である。しかし、その実現には、産業創出のための戦略を検討しなければならない。本研究では、戦略を検討するため、技術革新プロセスにおける二つの概念を提示した。一つは、技術融合という概念であり、もう一つは、潜在需要を技術課題へと翻訳し、その成果を統合する需要表現という概念である。技術融合とは、複数の技術の単なる組み合わせではなく、1+1が3になるような飛躍的な技術革新プロセスである。ITS産業の創出には、技術融合によって、飛躍的な技術革新が必要であり、また、情報・サービスも含めた産業融合も必要である。さらに、新規産業のように需要が未だ明確になっていない産業においては、需要表現という技術革新プロセスが重要である。特に、ITS産業のように多くの業種が関わる新規産業では、一企業、一業界あるいは一省庁のみの需要表現では十分でない。すなわち、国家レベルにおいて、技術課題への翻訳プロセスが必要となるのである。そして、国家の需要表現システムには、技術課題翻訳プロセスの階層性、開発プロジェクトの多元性が重要である。 以上の成果は自動車走行電子技術協会20周年記念誌において、「政策融合と需要表現によるITS産業の創出」として発表し、自走協20周年記念懸賞論文優秀賞を受賞している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 玄場 公規、児玉 文雄: "わが国製造業の多角化と収益性の定量分析"研究技術計画. 14・3. 179-189 (1999)
-
[Publications] 玄場公規、児玉文雄、岡田栄一郎: "政策融合と需要表現によるITS産業の創出"自動車走行電子技術協会20周年記念誌. 9-14 (1999)
-
[Publications] 児玉文雄: "技術ネットワークの拡大と日本の将来:日米間のスパイラル学習"国際交流. 85号. 19-27 (1999)
-
[Publications] Bransocmb L.,Kodama F.: "New Strategies for New Challenges : Coporate Innovation in the United States and Japan"Washington D.C:National Academy Press. 19-27 (1999)
-
[Publications] 玄場 公規,児玉 文雄: "産業の多角化の動向と収益性との相関"一橋大学ビジネスレビュー. 46(3). 65-74 (1999)
-
[Publications] Kodama F.: "Information Processing for New Industy Creation"Berlin:Edition Sigma. 145-166 (1999)