2001 Fiscal Year Annual Research Report
企業の新事業戦略構築に資する新産業創出過程の基礎的研究
Project/Area Number |
11490005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 文雄 東京大学, 先端経済工学研究センター, 教授 (20016538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄場 公規 東京大学, 大学院・工学系研究科, 客員助教授 (80313039)
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Keywords | 新産業 / 新規事業 / ITS / 技術融合 / 需要表現 |
Research Abstract |
本研究は、新産業の創出過程を3つの視点から分析を行った。第一の視点は、「大学依拠型イノベーション」である新産業創出には大学の研究成果を活用することが不可欠とされているが、わが国では産学連携が活発ではないとされている。本研究では、産学連携が進まない要因として、大学と産業界との間に存在するギャップに焦点を当て分析を行った。すなわち、大学発の研究成果を活用するためには、このギャップを乗り越える必要がある。このギャップを仲介し、技術を育成する役割を「イノベーション・エージェント」という概念を用いて分析を行い、産学連携に必要なマネジメントを明らにした。 第二の視点は、「異業種間競争」である。飛躍的な技術革新は同業種の企業からではなく、異業種の企業からもたらされることが既存研究により明らかとなっている。そのため、新産業を創出するためには、異業種間の競争が必要と考えられる。このような問題意識に基づき、幾つかの代表的な新規産業において、異業種間競争のプロセス及びメカニズムの分析を行った。具体的には環境産業及びセラミックス産業という新規産業において、異業種間の競争が激化していることを実証した。一方、わが国においては、異業種間の連携が匠に行われており、競争のみならず、異業種間の連携による技術融合が新産業の創出に必要不可欠であることが分かつた。 第三の視点は「新技術の需要予測」である。新技術が活用されて製品の市場が成長する成長モデルを開発し、実際のデータに当てはめ、分析を行った。我々は従来、普及分析で最も多く用いられるロジスティック曲線ではなく、新しい需要が創出される市場成長曲線として「二段ロジスティック曲線」「二重ロジスティック曲線」というモデルを提示し、そのモデルの当てはめを行った。その結果、幾つかのハイテク製品により、新しい成長モデルの方が当てはまりの良いことが分かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 柴田友厚, 児玉文雄: "製品アーキテクチャーの進化:アーキテクチャーからみた技術進化"一橋ビジネスレビュー. 49・3. 180-195 (2001)
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[Publications] 児玉文雄: "新規事業創出戦略"技術と経済. 417. 4-13 (2001)
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[Publications] M.Osaki, K.Gemba, F.Kodama: "Market Growth Models in Which the Potential Market Size Increases with Time"Portland International Conference on Management of Engineering and Technology. 788-796 (2001)
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[Publications] J.Lee, K.Gemba, F.Kodama: "Analysis on supplier system of the automobile industry"Technological Forecasting and Social Change. (刊行予定).
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[Publications] 玄場公規: "新規事業創出戦略"2001年度組織学会年次大会講演集. 65-70 (2000)
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[Publications] Kiminori Genba, Fumio Kodama: "Diversification Dynamics of the Japanese industry"Research Policy. Vol.30 issue8. 1165-1184 (2001)
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[Publications] 児玉 文雄, 玄場 公規: "新規事業創出戦略〜産業創出・技術進化サイクル論による事例分析〜"生産性出版. 196 (2000)