2002 Fiscal Year Annual Research Report
農林地および草原の持続的生産性評価のための指標作成
Project/Area Number |
11490015
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Research Institution | GIFU University |
Principal Investigator |
秋山 侃 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10283318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 志郎 (独)農業技術研究機構, 畜産草地研究所, 室長
篠田 成郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (80187369)
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
塩見 正衛 茨城大学, 理学部, 教授 (80250976)
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Keywords | 森林 / 農耕地 / 草地・草原 / 持続的生産性 / 炭素動態 / 種多様性 / リモートセンシング / モデル |
Research Abstract |
本研究では、森林、草地・草原、農耕地において、3つの方法で持続的生産性を表現しうる指標作りを行った。 (1)炭素収支法:畑地と水田で炭素の動態と収支を測定した結果、水田作が持続性の高い農法であることが証明され、ついで二毛作畑の持続性が高いと判定した。一方、1haの冷温帯林の炭素貯留量と動態を詳細現地調査法で計測した。その結果、樹木およびササを含む植物体に107t、土壌に334tの炭素が貯留され、とくに土壌圏が炭素のプールであることが判明した。 (2)種多様性:草原生態系の安定性は草原を構成する種の多様性と空間分布によって推定できる。中国内蒙古自治区の草原を調査した結果、種の出現率は放牧圧によって変化し、禁牧によって植生が回復する過程を、出現種の構成や出現率を表すベータ二項分布などの指標で表示ができた。 (3)リモートセンシング監視法:草原状態をリアルタイムでモニターし、草量を把握できれば草原の保全と利用の両立、すなわち持続的生産を可能にする。NOAAおよびMODISの画像データを使ったNDVIで内蒙古草原の草量の季節変化を推定した。また気温、降水量データから草生産を予測することができた。一方、イタリアンライグラス草地の分光放射特性を解析し、草地状況を判定し、草量、植被率、自然草高との関係をモデル式で表した。草量についてはDVI、植被率と自然草高はNDVIとの相関が最も高く、これらの指数で草地状態を把握することができた。また、流域内での物質循環の連続性を表す指標を提案した。こうした指標を算出するに当たり用いる流域内物質収支モデルの構築およびその境界条件データの特定化において必要となる詳細な土地被覆情報を人工衛星リモートセンシング画像から抽出する方法を提案した。 以上の結果、対象とする生態系ごとに持続的生産性を表す適当な指標を設定することができた。しかしすべての生態系に共通した指標を提案するには至らなかった
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 賈 書剛, 秋山 侃, 酒井 徹, 小泉 博: "冷温帯林土壌圏の炭素動態 1.地形、植生と土壌分布"システム農学. 18・1. 26-35 (2002)
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[Publications] 賈 書剛, 秋山 侃, 小泉 博: "冷温帯林土壌圏の炭素動態 2.現地詳細調査に基づく生態系炭素貯留量の推定"システム農学. 18・2. 142-151 (2002)
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[Publications] Kawamura, K.Akiyama, T.他: "Estimation of aboveground biomass in Xilingol Steppe, Inner Mongolia using NOAA/NDYI"Grassland Science. 49・1. 1-9 (2003)
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[Publications] 篠田成郎 他: "流域環境要因の時系列解析による魚類生態系変化の検討 長良川支川吉田側流域を例として"京都大学防災研究所年報. No.45・B2. 113-126 (2002)
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[Publications] 篠田 成郎 他: "ウオッシュアウトおよびレインアウトによる降雨中全窒素含有量の推定"第10回地球環境シンポジウム論文集. 275-281 (2002)
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[Publications] Tsutsumi, M.Shiyomi, M.et al.: "Detecting the spatial pattern of a plant population in grassland vegatation at varving scales using binary date"Grassland Science. 48・4. 303-310 (2002)
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[Publications] Akiyama, T.(ed.) Uchida, S.Chen Y., Saito G.(分担執筆): "Application of Remote Sensing for the Management of Agricultural Resources"China Agricultural Science and Technology Press. 281 (2002)