1999 Fiscal Year Annual Research Report
1価パラジウム複核活性種による不飽和炭化水素の新規変換反応
Project/Area Number |
11490023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒沢 英夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村橋 哲郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40314380)
生越 専介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30252589)
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Keywords | 1価パラジウム錯体 / サンドウィッチ錯体 / アルキン2量化 |
Research Abstract |
近年のパラジウム錯体触媒に基づく合成反応の発展には目を見張るものがあるが、ほとんどすべての鍵過程は、酸化数ゼロおよび2のパラジウム原子が単独で有機基質を活性化して進行するものと理解されてきた。しかしこの方法論もやがて限界を示すと考えられている。一方、次世代を担う新型物質変換触媒として、複数の金属原子が協同して基質の活性化を行うクラスター錯体が期待されている。しかし、有機パラジウムクラスターについては、合成的応用のみならず錯体化学的な研究も大変遅れた状態にある。本研究では、酸化数1のパラジウム原子を持つアリル、プロパルギル、ビニル、アルキニル、カルベン等の架橋複核錯体の合成と構造決定およびアルケンやアルキンとの新型変換反応の探索を行い、画期的な次世代物質合成法開発に連なる基盤を築くことを目的とする。本年度はまず、1価パラジウム2原子どうしが結合し、配位力の弱い不飽和炭化水素で置換されやすい配位を持つ複核錯体の合体から始めた。いくつかの試みの後、この目的に合った錯体として、4分子または6分子のアセトニトリルがPd-Pd軸に配位した錯体の合成に成功した。前者の錯体では他に2分子のトリフェニルホスフィンもPd-Pd軸に配位すつことをX線構造解析で確かめた。この錯体は2当量のフェニルアセチレンと容易に反応して、アセチレンが頭尾で2量化したブテンジイリデン活性種を発生させること、この活性種がPd-Pd骨格に架橋配位することなどを見出した。6分子アセトニトリル2核パラジウム錯体は、ゼロ価Pd存在下1,8-ジフェニルテトラエンと自己集合的に反応し、2分子のテトラエンがPd-Pd-Pd-Pd鎖にサンドウィッチ配位する新規錯体を与えることを見出した。
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[Publications] T.Murahashi,E.Mochizuki,Y.Kai,H.Kurosawa: "Organometallic Sandwich Chains Made of Conjugated Polyenes and Metal-Metal Chains"J.Am.Chem.Soc.,. 121. 10660-10661 (1999)
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[Publications] T.Murahashi,T.Otani,T.Okuno,H.Kurosawa: "Coupling of Alkynes on pd-pd to Generate an Electrophilic μ-Butenediylidene Moiety"Angew.Chem.Int.Ed.. 39. 537-540 (2000)