1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11490027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
丸山 定巳 熊本大学, 文学部, 教授 (00039968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ニ塚 信 熊本大学, 医学部, 教授 (80040195)
原田 正純 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00040519)
富樫 貞夫 志學館大学, 法学部, 教授 (70039957)
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Keywords | 水俣病 / 地域再生 / 公害防止 / 胎児性患者 / ADL / QOL |
Research Abstract |
(1)1995年の「政治解決」で水俣病問題は終わったとされているが、患者・家族調査によると健康不安・治療問題・経済問題それに差別偏見問題等が依然として存在していることが判明した。患者・家族に対する面接調査資料をかなりの程度蓄積することができたが、未だに存在する地域社会における偏見差別あるいはまた患者団体間のわだかまり等のために、事実関係及び意識等の聴取が容易でないことを実感させられた。 (2)水俣湾公害防止事業(環境復元事業)に関する行政資料の所在と保存状況を調査したところ、膨大な量の資料があることが判明し、その内容を調査中であるが、関係資料の収集・整理の作業は未了である。第1年度の最大の目標は行政資料の調査にあったが、その所在を確認して閲覧・複写の道をつけるとともに、重要と思われる資料に目を通し、研究計画を細目まで具体化することができた。 (3)胎児性患者の現在の症状および生活状況の把握を行うために現地調査を実施した。重症者はすでに死亡している(64例中13例)。3名が自らの給料(障害者雇用)を得ていたが、2名は辞めている。他の患者は家事の手伝い程度。症状の明らかな悪化が見られる(自覚症状、変形など)。 (4)水俣市に隣接する津奈木町の65歳以上の全住民を対象にADL・介護度を中心とした調査を分析した。併せて、QOLを評価するための指標の作成を試みるとともに、津奈木町内の一集落役150名を対象に地域社会に及ぼした水俣病の影響に関するパイロット調査を実施した。メチル水銀汚染地域住民のADLを評価し、多彩・多様な愁訴を有しているが、それは必ずしも日常生活の支障やADLの障害に結びついていないこと明らかにした。この地域で保健医療福祉の統合したソーシャルサポートを形成していくためには、きちんとしたQOLの評価と地域住民のニーズの確認が必要であることが再確認された。
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