2000 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアモンドセルによる超高圧の発生と地球中心核の温度の見積もり
Project/Area Number |
11554016
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
廣瀬 敬 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50270921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 勉 東芝タンガロイ株式会社, 製造本部生産技術担当, 主務(研究職)
高橋 栄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40144779)
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Keywords | ダイヤモンドセル / 高圧発生装置 / 下部マントル |
Research Abstract |
本研究では、ダイアモンドセル型高圧発生装置を用いた、超高圧高温実験技術の開発とその地球科学への応用を目的とした。ダイアモンドセル型高圧発生装置は静的にもっとも高い圧力を発生できる高圧装置である。現在地球科学の分野では、マルチアンビル型高圧発生装置広く用いられているが、その発生圧力は地球の下部マントル最上部相当に限られるため、より地球深部の情報を得るには、このダイアモンドセル実験技術の進歩が不可欠である。 本研究では、まず装置開発として、超高圧下における高温実験に適したセルの設計、製作を行った。以下、具体的な経過および成果を挙げる。 (1)現在世界中の研究者はそれぞれ自作のダイアモンドセルを使用している。その中で、本研究目的の加熱実験にとくに適したセルを探した。その結果、米国カーネギー研究所Mao博士のところで使われているセルは両面対称であり、両面からの加熱実験に適していると判断された。そのためこのセルを本研究の叩き台とした。 (2)本研究分担者である東芝タンガロイの狩野とこのセルの設計に関して議論し、超高温下におけるさらなる安定性を確保するため、ピストン部の改良を試みた。 (3)改良を2回くり返した結果、製作されたセルをもちいて実際に加熱実験を行い、85GPa、3000Kまでの実験に充分耐えうることを確認した。 この新しく開発されたセルを用いて、地球科学的な問題に応用し、以下の成果を挙げた。 (4)下部マントル構成物質に関する融解実験を行い、融点は海洋性地殻とほぼ同じであることを確かめた。このことは地球の外核最上部の温度が4000K以上であることを強く示唆している。 (5)下部マントル構成物質に関する、融点以下の相平衡試験を行い、さらに透過型分析電子顕微鏡によって化学組成分析を行った。その結果、従来の結果よりもMg-perovskiteにはより鉄が固溶することがわかった。このことは下部マントル中にはMg-perovskiteの量が多いことを示す。 (6)放射光を用いた超高温高圧下その場観察実験により、Ge02の相転移境界を明らかにした。
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[Publications] K.Hirose,Y.Fei,S.Ono,T.Yagi,K.Funakoshi,K.Hirose,Y.Fei,S.Ono,T.Yagi,K.Funakoshi: "In-situ measurements of the phase transition boundary in Mg3Al2Si3O12 implications for the nature of the seismic discontinuities in the Earth's mantle"Earth and Planetary Sciences. 181. 567-573 (2001)
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[Publications] K.Hirose and Y.Fei: "Melting of subducted basalts and formation of anti-crust at the bottom of the mantle"G-cubed. (submitted). (2001)
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[Publications] S.Ono,K.Hirose,N.Nishiyama,M.Isshiki: "Phase boundary between rutile-type and CaCl2-type germanium dioxide determined by in situ X-ray observations"Geophysical Research Letters. (submitted). (2001)