2001 Fiscal Year Annual Research Report
反応速度指標支援型温度計による低度変成・変質作用の熱史評価-被熱継続時間の精密決定-
Project/Area Number |
11554019
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大平 寛人 島根大学, 総合理工学部, 助手 (60273918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三瓶 良和 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00226086)
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Keywords | フィッショントラック / 堆積盆 / アパタイト / 熱履歴 / ジルコン / アニーリング / 松遼盆地 / 石油 |
Research Abstract |
堆積盆試料については,中国東北地方の松遼盆地の熱履歴推定を行った.盆地全域から得られたジルコンのFT年代は101〜120Ma(1σ)であり,FT長は10.6-11.1μmのユニモーダルパターンを示した.盆地西縁部のアパタイトの年代は試料で96-118Maであった.閉鎖温度の異なるジルコンとアパタイトのFT年代の一致は,堆積盆の供給源として白亜紀末期に急速に冷却した後背地の存在を示唆する.盆地中央部のアパタイト年代はジルコンよりも明らかに若く,特に深部コア試料では10.1Ma(3065m),48.0(2080Ma)および63.2Ma(1350m)と,著しく若い値を示した.アパタイトの年代の深度変化から古地温勾配を推定するために,(1)深度ごとの埋没史を復元する,(2)任意の地温勾配を与え,いくつかの熱史を作成する,(3)順計算を用いて各熱史ごとに予想されるアパタイト年代を計算する,(4)計算された年代変化と実測値との比較を行う,を行った.その結果,古地温勾配として40-45℃/kmという値が最も適当であり,この値が,松遼盆地の過去数10Maにおよぶ期間の平均的な熱構造を反映していることが明らかとなった.国内の低度変成岩試料(三波川変成帯)についても実験を試みたが,アパタイトを取り出すことはできたもののconfined-trackを用いたトラック長測定が困難であった.一方,有機熟成指標のひとつであるメチルフェナントレンの熱感応性を坑井試料に適用した結果,MPI3値ついては,未熟成帯(=1)から過熟成帯(=2.8)にいたるまで連続的に変化することが明らかとなった.
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[Publications] Himeno O., Ohira H., Wtanabe K.: "Cretaceous deposition age and paleogeotherm in the Songliao Basin, Northeast China inferred from fission track thermal history analysis (in press)"International Geology Review. (2002)
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[Publications] Kojima T., Okada M., Ohira H.: "Paleomagnetism and fission-track ages of Oki-Dogo Island in Southwest Japan"Earth, Planet and Space (EPS). 53. 45-54 (2001)
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[Publications] 筒井夏実, 大平寛人: "島根県南東部に分布する内谷花崗岩体のFT年代"フィッショントラック・ニュースレター. 14. 19-21 (2001)
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[Publications] 大平寛人, 吉田真一郎: "島根県南東部鯛の巣山周辺地域の地質と年代"フィッショントラック・ニュースレター. 14. 22-25 (2001)
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[Publications] 野村正弘, 大平寛人: "群馬県富岡層群中に挟在する中新世原田篠・塩畑堂凝灰岩のフィッショントラック年代"群馬県立自然史博物館研究報告. 6. 1-6 (2002)