2001 Fiscal Year Annual Research Report
進化古生物学及び環境マーカーとしての実験動物-海生介形虫飼育技術の開発-
Project/Area Number |
11554020
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
池谷 仙之 静岡大学, 理学部, 教授 (50022223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 純 (株)静環検査センター, 生態研究部門, 研究員
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 助教授 (90212050)
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
石川 義朗 (財)環境科学技術研究所, 環境シミュレーション部, 研究員
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Keywords | Mother Culture / Mono Culture / 介形虫 / 実験飼育 / 環境条件 / 微量元素 |
Research Abstract |
海生介形虫類を常に実験動物として供給できるよう、2つのシステムを立ち上げた。自然状態に近い環境をつくって複数種を同時に飼育するシステム(Mother Cultureシステム)と特定種をインキュベーター内で単離飼育するシステムを立ち上げた。 Mother Cultureシステムでは、岩礁地における環境を再現し、微空間における介形虫類のmicrohabitatについて観察することができた。その結果、これまで「岩礁地に生育する石灰藻を住処とする」と一括されてきた介形虫類にも、微小空間を利用して種ごとに細かく棲み分けていることが明らかになった。すなわち、葉上に棲むもの、仮根部分の堆積物表面に生息するもの、さらに堆積物中に潜って生息するものの3パターンが認められた。但し、このシステムでは、経時的にどの分類群でも個体数が減少する傾向が見られ、常に野外の生育地から個体を加入させる必要がある。これは、生育する海藻が減少していくことと関連がありそうである。筑波大学下田臨海実験センターの屋外には、1ユニットが3m×4mの3連水槽が置かれているが、ここでは岩礁地と同じように、年間を通して海藻が繁茂し、季節的な個体数の増減が確認できた。本システムで個体数の経時的減少を防ぐには、海藻が常に繁茂できるよう、紫外線や循環する海水量を豊富にする必要があると思われる。 Mono Cultureシステムでは、Xestoleberis hanaiiの背甲を素材として実験が進められた結果、Sr/Caはほとんど水温に依存しないのに対し、Mg/Caは水温に依存的で、特に個体発生の段階を経て観察した結果、Mgは、背甲の有機物中に含まれ、背甲生成の重要な元素であることが確かめられた。このシステムでは、飼育している水を取り替える際、水だけでなく容器ごと交換することによって、バクテリアの繁殖が抑えられること、また餌は少量のデトリタスで、ほとんどの介形虫を維持できることがわかった。
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[Publications] 鈴木 款, 大西由香, 藤井 実: "海洋による二酸化炭素の吸収:プランクトンの役割"Plankton.Soc.Japan. 48. 22-23 (2001)
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[Publications] L.Wang, Y.Suzuki, H.Ito: "Isolation of nano-cooloidal organic matter from coastal Boral bay seawater using porous galss filter as cross-flow filtration membrane"Geoscience Reports of Shizuoka University. 28. 76-82 (2001)
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[Publications] 鈴木 款: "生物によるCO_2固定"日本エネルギー学会誌. 80. 818-827 (2001)
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[Publications] 大西由香, 藤井 実, 村重慎一郎, 湯沢 篤, 宮坂 均, 鈴木 款: "海水中における有機物分解過程:植物プランクトンを用いた分解実験"日本海水学会誌. v.56,no.1. 17-25 (2002)
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[Publications] Fuji, M., S.Murashige, Y.Onishi, Y.Suzuki: "Decomposition process of phytoplankton in sea water 1. Kinetic analysis on the effect of organic matter concentration"Journal of Oceanography. (in press). (2002)
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[Publications] Dennis A.Hansell, Yoshimi Suzuki, Steven Emerson, Craig Carlson: "Dissolved Organic Carbon Export with North Pacific Intermediate water Formation"Global biogeochemical Cycle. (in press). (2002)
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[Publications] 中尾 有利子, 塚越 哲: "古生物の科学3 古生物の生活史(池谷仙之・棚部一成編)"朝倉書店. 282(239-245) (2001)