1999 Fiscal Year Annual Research Report
活性中間体の常温観測と構造化学的研究のための時間分解赤外測光装置の試作
Project/Area Number |
11554031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 康丈 三重大学, 工学部, 助教授 (70197185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 史朗 三重大学, 工学部, 助教授 (80252328)
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Keywords | 赤外測光装置 / レーザー閃光光分解 / ベンゾシクロブテニリデン / カルベン / 活性中間体 |
Research Abstract |
本研究では、レーザーフラッシュフォトリシスの検出器として組み込めるような時間分解赤外測光装置を試作し、実際に使用する事によって活性中間体の構造化学的研究を行う事を目的としている。限られた時間と予算の中で目的を達成するため、まず現有のFT-IRの光学系にステップスキャン方式を導入したものを試作した。現有のナノ秒レーザーフラッシュフォトリシスの装置と同期させて使用するためにソフト的な改良も行った。その結果、吸光係数の大きなものならミリ秒程度の寿命の中間体が測定できるようになった。現在、マイクロ秒程度の寿命の中間体の測定が可能となるよう、改良を加えている。 一方、紫外、可視光検出のレーザーフラッシュフォトリシスによる活性中間体の動的挙動の観測も行っている。今年度に重点的に行ったのはベンゾシクロブテニリデンの観測の試みである。今回ベンゾシクロブテノンから誘導されたN-(2-フェニルアジリジル)イミノベンゾシクロブテンを前駆体として室温、溶液中でのレーザーフラッシュフォトリシスを行った。エキシマーレーザー(XeCl,308nm)のパルス光を前駆体に照射すると450nm付近に弱い吸収を有する中間体が観測された。この中間体の寿命は1μs程度であり、メタノールやシクロヘキセンと反応すること、また、ピリジンを添加するとイリドと思われる強い吸収が456nmに観測されてくることなどから、ベンゾシクロブテニリデンであろうと帰属した。この450nm付近の吸収が減衰するのに伴い、1μs程度の立ち上がりをもって510nmに極大を持つ過渡吸収が成長してくるのも観測された。この過渡種の寿命は17μsであった。酸素やメタノール存在下ではその寿命には変化はないが、初期吸光度が減少する事から、この過渡種はすでに報告されているメチレンシクロヘプタジエンインであろうと推測される。 試作中の赤外測光装置の時間分解能がマイクロ秒程度に向上すれば、上記の反応の中間体の赤外吸収スペクトルの測定が可能になり、構造化学的知見が得られると期待できる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Takahashi: "Mechanistic Studies of the Azomethine Ylide-Forming Photoreactions of N-(Silylmethyl)phthalimides and N-Phthaloylglycine"J.Am.Chem.Soc.. 121. 5180-5184 (1999)
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[Publications] T.Niwa: "Effects of Molecular Charge on Photoinduced Electron-Transfer Reactions"J.Am.Chem.Soc.. 121. 7211-7219 (1999)
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[Publications] H.Ikeda: "Photoinduced Electron-Transfer Cope Rearrangements of 3,6-Diaryl-2,6-octadienesand 2,5-Diaryl-3,4-dimethyl-1,5-hexadienes : Stereospecificity and an Unusual Cope Rearrangement Accompanying the Bicyclo[2.2.2]hexane Derivatives"J.Org.Chem.. 64. 1640-1649 (1999)
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[Publications] S.Koseki: "Benzannelation Effects on Enediyne Cycloaromatization : A b initio Molecular Orbital Study"J.Phys.Chem.. 103. 7672-7675 (1999)
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[Publications] S.Koseki: "Of Ortho-Conjugatively Linked Reactive Intermediates.The Cases of Ortho-Phenylene-(Bis)Nitrene,-Carbennitrene and-(Bis)Carbene"J.Am.Chem.Soc.. 121. 10563-10572 (1999)
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[Publications] K.Hoki: "Quantum control of photodissociation of sodium iodide"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 72. 2665-2671 (1999)
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[Publications] S.Koseki: "Theoretical Study on Thermal Isomerization Reaction between meso and DL cyclomers of 4a,6a,10a,10b-tetrahydropyrido-[2,1-c]-pyrido-[1,2-a]piperazi**d its lower homologue(in press)"J.Mol.Struct.(THEOCHEM). (1999)