1999 Fiscal Year Annual Research Report
近接場顕微鏡用アップコンバージョン微小球レーザーの開発
Project/Area Number |
11555009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 和男 オリンパス光学工業(株), 光学技術部・係長
堀田 純一 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80301919)
|
Keywords | 微小球レーザー / アップコンバージョン-発光 / 多光子励起 / 希土類イオン / 近接場顕微鏡 / レーザーマンピュレーション |
Research Abstract |
本研究では、希土類イオンをドープしたガラス微小球を新たに作製し、近赤外光を用いた多光子励起により可視、紫外領域の安定したレーザー発振(アップコンバージョンレーザー発振)を誘起し、実用的な近接場プローブを開発するための基礎的研究を行っている。本ガラス微小球は、(1)希土類イオンによる長時間安定したレーザー発振が可能、(2)アップコンバージョンによりポンプ光と発振光の波長分離が容易、(3)微小球プローブを非接触・非破壊的に操作するための光マニピュレーション用近赤外レーザー光を同時にポンプ光として用いることが可能、という特徴を持つ。希土類イオンのアップコンバージョン発光の研究報告は数多くあるが、多光子励起過程、エネルギー移動、緩和過程等の発光メカニズムについては不明な点が少なくない。本研究では、まず我々が開発した3次元空間・時間分解分光システムを用いてアップコンバージョン発光ダイナミクスの解析を行い、レーザー発振の安定性や効率を検討して最適なガラス材料を調製した。微小球の作製法としては、これまで溶融滴下法や化学エッチングが用いられてきたが、微小球レーザー発振に適した数十マイクロメートルのサイズを作ることが難しく、また表面粗さを抑えることができないために微小球共振器のQ値が低下するという問題がある。本研究では、我々が新たに開発した手法として、希土類イオンをドープしたガラス粉末をガスバーナーの酸化炎の部分で加熱して微小球を作製することに成功した。また、LD励起Nd:YAGレーザーの基本波を調整光学系を通して倒立型光学顕微鏡に導き、ガラス微小球に集光してレーザーマニピュレーションを行うとともにアップコンバージョンレーザー発振を誘起する装置を試作した。
|
-
[Publications] 笹木敬司: "微小球キャビティと多光子顕微分光"分光研究. 48. 165-173 (1999)
-
[Publications] 藤原英樹: "多光子顕微鏡と微小球レーザー"レーザー研究. 27. 823-826 (1999)
-
[Publications] Hideki Fujiwara: "Upconversion Lasing of a Thulium-ion-doped Fluorozirconate Glass Microsphere"Journal of Applied Physics. 86. 2385-2388 (1999)
-
[Publications] Hideki Fujiwara: "Lasing of a Microsphere in Dye Solution"Japan Journal of Applied Physics. 38. 5101-5104 (1999)