2000 Fiscal Year Annual Research Report
固体色素中における色素凝集体の分光特性を利用した高機能レーザー
Project/Area Number |
11555010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 千葉大学, 工学部, 助教授 (30241938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池滝 慶記 オリンパス光学(株), 研究部, 主任研究員
藤井 正明 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所・電子構造研究系, 教授 (60181319)
立田 光廣 千葉大学, 工学部, 教授 (30282445)
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Keywords | 固体色素レーザー / 色素凝集体 / 波長可変レーザー / 非線形光学 / 位相共役波発生 / ベクトル位相共役鏡 |
Research Abstract |
プレ重合したMMAにDCMの有機レーザー色素を添加したメタノール溶液を加えて、拡散、重合し、バルクの固体色素を調製した。このDCM固体色素を用いて、レーザー発振実験を行った。 繰り返し周波数1Hzにおいて発振しきい値は0.2mJ以下、スロープ効率25%の高いエネルギー変換効率を達成した。空間モードはほぼガウスビームで極めて良好であった。また、繰り返し周波数を10Hzに上げても15%を超える高いエネルギー取り出し効率を実現した。2000ショット以上の連続動作においても出力低下は見られなかった。発振波長は600-615nmの範囲で可変である。 発振波長域を広げるために、650nm領域で発振するNile-Blue色素をDCM色素と共分散させた固体色素を調整した。Nile-Blue色素は励起光波長532nmで吸収断面積が小さい上に、蛍光寿命が短く(<2ns)、レーザー発振させにくい。DCM色素を共分酸させたことで、励起光吸収効率が格段に向上するとともに、蛍光寿命も5-7nsとほぼDCM色素と同程度に長くなった。この結果、励起エネルギー数mJで630-650nm領域のレーザー発振に成功した。今後、発振しきい値の低減、エネルギー取り出し効率の向上を目指す。 さらに、これらの固体色素の非線形光学応答を利用したナノ秒領域の速い時間応答性を持つベクトル位相共役鏡をデバイス化した。この位相共役鏡は、入射光の受ける位相歪のみならず偏光歪も97%以上の精度で補償する。位相共役波反射率は20%であった。この反射率は固体色素を用いたベクトル位相共役鏡としては世界最高値である。
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[Publications] 渡辺博文,尾松孝茂: "インジェクションシーディングを用いた固体色素レーザーにおけるレーザー共振器内高効率位相共役波発生"光学. 29. 304-307 (2000)
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[Publications] H.Watanabe,T.Omatsu: "Tunable phase conjugation by intra-cavity degenerate four-wave-mixing in a laser-injection-seeded solid dye laser"Optics Letters. 25. 1267-1269 (2000)
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[Publications] M.Revermann,H.M.Pask,J.L.Blows,T.Omatsu: ""Thermal lensing measurements in an intracavity LiIO_3 Raman laser""Trends in Optics and Photonics. 34. 506-509 (2000)
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[Publications] T.Hirose,T.Omatsu, et.al.: "Vecrial phase conjugation by degenerate four-wave-mixing in a saturable amplifier polymer laser dye"Europe Conference on Laser and Opto-Electronics 2000 Technical Digest. 120 (2000)