2000 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造内の電子遷移の制御法と近赤外・中赤外域光変調機能デバイスの開発
Project/Area Number |
11555091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 武司 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (90251462)
高橋 琢二 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20222086)
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Keywords | 量子(井戸) / 量子ドット / ナノ構造 / エネルギー準位 / 光学遷移 / 中赤外光 / シュタルク効果 / 光イオン化 |
Research Abstract |
10nm級の量子(井戸)薄膜・量子細線・量子ドットなど各種のナノ構造において、その内部に形成される-連のエネルギー準位またはサブバンド間の光学遷移の制御可能性について調べ、光変調デバイスへの応用を探索し以下の知見を得た。 まず、量子井戸薄膜の基底サブバンドE1から励起サブバンドE2への光学遷移のスペクトルがE1内の電子数Nsをゲート電圧Vgで増減させた時にどのように変化するかを調べ、遮蔽されたシュタルク効果の作用だけでなく、電子間の多体効果の関与した反電場の作用などが強く影響することを示した。 また、通常の量子井戸において、上側の障壁を金属に置き換えたナノ構造を対象に、その中赤外吸収スペクトルを調べ、半導体と金属とが接する界面における電子のフレネル反射の作用に伴う、擬似的な束縛状態が重要な役割を果たすことを見出した。 続いて、量子ドット内の離散準位の関与したバンド間光吸収スペクトルの静電界への依存性を調べ、シュタルク効果がドットの多重化でどのように強められるかを明らかにした。また、吸収線幅の決定要因も示した。 さらに、量子ドット内の束縛準位からドット外の非束縛準位への光イオン化過程について理論解析を進め、準束縛状態の電子の波動関数の形状や対称性が大きな役割を果たすことを示した。 加えて、GaAs中のGaSbドットのように、正孔のみを束縛する系において、バンド間の光遷移課程を調べ、電子と正孔のクーロン引力の役割を定量化した。特に、(GaAs/AlGaAs)量子井戸の中央にGaSbドットを埋め込むと、ドーナツ状の固有関数を持つ量子リング状態の形成できることとその特色を明らかにした。
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