1999 Fiscal Year Annual Research Report
不純物制御雰囲気スパッタ法で作製した人工格子型高感度薄膜磁気センサーの開発
Project/Area Number |
11555105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 匡清 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80250702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
うね山 和弘 シャープ株式会社, 精密技術開発センター, 研究員
高橋 研 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70108471)
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Keywords | 人工格子 / 薄膜 / 磁気抵抗効果 / センサー / 不純物ガス / 極高真空 / スパッタリング |
Research Abstract |
金属人工格子薄膜のGMR効果の磁界センサーへの応用には、飽和磁界強度の低減による高感度化が必要不可欠である。飽和磁界強度等の人工格子薄膜の物性は薄膜の微細構造に強く依存しているが、スパッタ成膜プロセスには、薄膜微細構造との相関の観点から、未だに充分に解明・制御されていない要素も多い。特に成膜雰囲気中の不純物が果たす役割に付いては不明な点が多く、不純物制御雰囲気スパッタ法が、薄膜微細構造の新たな制御方法と成り得る可能性は極めて高い。本研究は、酸素、水分、窒素といった不純物がCo(-Fe)/Cu金属人工格子薄膜の微細構造に及ぼす影響を解明することを通じて、新たな微細構造制御法の確立と、それに基づく人工格子型高感度磁界センサーの開発を目的としている。 本年度は、成膜プロセス中に残留している不純物の影響を明確化するために、成膜プロセス前のスパッタリングチャンバーの到達真空度を変化させ、若しくは、一旦極高真空領域(10^<-11>Torr)まで真空排気した後に不純物ガスを添加し、その時作製されたCo/Cu人工格子薄膜の巨大磁気抵抗効果と、微細構造(特に積層界面の平坦性)との相関について検討を行った。その結果、不純物酸素が分圧5×10^<-8>Torr 存在した場合、Co/Cu人工格子薄膜の結晶粒の微細化が生じ、積層界面の平坦化が起こるために、GMR効果の増大が観測されることが明らかとなった。同様の効果は、分圧1×10^<-7>程度の不純物水分の存在によっても引き起こされることが判った。結晶粒の微細化の機構は、従来推測されていたような酸素原子のサーファクタント効果ではなく、多層膜の部分的な酸化によるものであることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 角田匡清: "極清浄雰囲気中で作製したAg-Co薄膜の構造とGMR効果(Cu-Co薄膜との比較)"日本応用磁気学会誌. 23. 1341-1344 (1999)
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[Publications] S.Miura: "Drastic change of giant magnetoresistance of Co/Cu multilayers by decreasing residual impurities in sputtering atmosphere"Journal of Applied Physics. 85. 4463-4465 (1999)