Research Abstract |
車両衝突を受ける防護柵の性能評価に関して,実車衝突実験を補完するコンピュータシミュレーションを可能とするためのシミュレーション手法の開発のための研究を行った.まず,研究室で従来開発された,25トントラックのモデルを改良し,車両重心や車両重量分布の精度を上げ,より厳密な車両誘導性能や加速度応答がとれるようにした.防護柵については,まず,実車実験結果と比較して,FEMモデルの精度を確認できるように,実車実験で使われた,鋼製とアルミニウム合金製の橋梁用自動車防護柵をモデル化した.そのとき,シェル要素とはり要素を組み合わせ,要素数が極端に大きくならずに,かつ,変形性能などが正確に実験を再現できるように,感度解析を行ってメッシュの細かさを決定した.その結果,LS-DYNA3Dを用いた数値解析シミュレーション結果は,速度80km/h,衝突角度15度において,実車衝突実験と比較して,車両誘導性能,防護柵の変形応答挙動,反力応答挙動とも,良好な結果を得ることができた.また,実車実験を行った条件以上の速度と車両重量を用いた,数値解析シミュレーションを行い,旧基準で製作された防護柵の余剰性能を確認した.その結果,鋼製およびアルミニウム合金製防護柵とも,80km/hで25tfの車両衝突までは,十分な性能を有していることを明らかにした.ただし,防護柵基部の境界条件や非常に大きな変形を伴うときのFEM解析の精度に問題があることもわかり,今後の検討改題となった.なお,防護柵に使われるアルミニウム合金のひずみ速度効果を確認するための,高速度引張試験を行いひずみ速度による材料性能を明らかにした.その結果,降伏点応力(耐力)と引張強度については,数%程度のひずみ速度効果を確認したが,シミュレーション解析の中にその効果を組み込んだが,最終的な挙動には,ほとんど影響を与えないことを実証した.
|