2000 Fiscal Year Annual Research Report
下水道マンホール蓋の飛散現象とその防止対策に関するシミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
11555144
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 政広 愛媛大学, 工学部, 助教授 (70036458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神吉 和夫 神戸大学, 工学部, 助手 (70031135)
神田 徹 神戸大学, 工学部, 教授 (30029144)
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Keywords | 空気圧 / 空気塊 / マンホール蓋飛散 / 地表面はんらん / サーチャージ流れ / 豪雨 / 下水道管渠システム / 都市流出 |
Research Abstract |
近年,各地の下水道流域で,豪雨時,マンホール蓋の飛散事故が多発するようになってきている.マンホール蓋飛散の発生原因の一つは,豪雨時,下水道管渠網での遷移流(開水路流れ→圧力流れ)の発生により,マンホール内あるいは下水道管渠内に空気塊が封入され,遷移流れの拡大と伝播に伴って空気塊が圧縮されることにより,マンホール蓋に作用する空気圧が相当程度まで高まってゆくためと考えられる.また,マンホール蓋の飛散後,溢水した氾濫水がマンホール地点の路面上に湛水すると,マンホール蓋の飛散が通行する車両や人からは確認できないため,マンホール内への転落事故を招くこともあるなど,マンホール蓋飛散は早期に防止対策が見出されなければならない問題である. 本研究は,マンホール蓋飛散のメカニズムを明らかにし,蓋飛散防止対策の効果を正確に評価・予測しえる雨水流出シミュレーションモデルの開発を目指したもので,(1)はじめに,マンホール部に空気塊を封入する下水道管渠網の圧力流れを精度高くシミュレートできる雨水流出解析モデルを提示し,下水道管渠システムの水理模型による流出実験を行って本モデルの適合性がかなり高いものであることを確かめた.(2)これにより,マンホール部に封入された空気塊に起因してマンホール蓋に作用する空気圧を精度良く算定することが可能となった.(3)次に,上の水理模型による流出実験を行ってマンホール蓋飛散の主要なメカニズムを明らかにするとともに,マンホール蓋の空気孔およびマンホール壁の吸排気ダクト(取付管)がマンホール蓋に作用する空気圧を軽減させる効果について,同様の流出実験を行って検討し,吸排気ダクト(取付管)を設置すれば,空気圧を大きく軽減する効果の得られること,すなわち,蓋飛散をかなりの程度まで軽減・抑止しえるであろうことを明らかにした.
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[Publications] Watanabe,M.: "A lumping method of manholes for surcharged flow in urban sewer pipe systems"Proc.8th Int.Cort.on Urban' Storm Drainage. Vol.4. 2147-2154 (1999)
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[Publications] 神田徹: "都市小試験流域での水文観測とXP-SWMM法による流出解析"建設工学研究所論文報告集. 41-A. 45-65 (1999)
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[Publications] 渡辺政広: "マンホール部に空気塊を封入する下水道管渠網の圧力流れ"水工学論文集. 44. 551-556 (2000)
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[Publications] 渡辺政広: "下水道マンホール蓋飛散の水理解析モデル"愛媛大学工学部紀要. 19. 233-240 (2000)
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[Publications] 渡辺政広: "マンホール部に空気塊を封入する下水道管渠システムの圧力流れとマンホール蓋飛散の水理解析モデル"流体力の評価とその応用に関するシンポジュウム講演論文集. 74-83 (2000)
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[Publications] 渡辺政広: "マンホール蓋飛散の水理解析モデルと水理模型実験"水工学論文集. 45. 907-912 (2001)
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[Publications] 神田徹: "都市小流域へのSWMMの適用におけるモデル・パラメータの値について"水工学論文集. 45. 79-84 (2001)
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[Publications] 渡辺政広: "下水道マンホール蓋飛散の水理模型実験と水理解析モデル"愛媛大学工学部紀要. 20. 155-166 (2001)