2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11555177
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Research Institution | SHIBAURA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
大塚 正久 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20013732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 雅美 日本大学, 工学部, 教授 (40156930)
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Keywords | 鉛フリーはんだ / 機械的性質 / 恒温疲労 / 熱疲労 / Sn-Ag合金 / コフィン・マンソン則 / マイクロ接合 / クリープ |
Research Abstract |
【目的】鉛フリーはんだ合金候補としてSn-3.5Ag-X系が有力視されている.しかしその実用化に際しては,動的負荷のみならず静的負荷に対する信頼性を確保する必要がある.静的変形の代表がクリープであるが,鉛フリーはんだのクリープ特性に関する既往の研究は多くない.そこで本研究ではSn-3.5Ag-X系合金バルク体のクリープ挙動を,クリープ速度,延性および破断寿命の観点から検討した. 【方法】供試材は以下の合金である:(1)Sn-3.5mass%Ag,(2)Sn-3.5mass%Ag-xBi(x=2,5,10mass%),(3)Sn-3.5mass%Ag-xCu(x=1,2mass%).金型大気鋳造により得たインゴットからゲージ部φ4.5×15mmの丸棒試験片を切出した後,373Kで1hrのひずみ取り焼鈍を施し,温度298K,348Kおよび398Kにおいて肩掛けチャック方式の定荷重引張クリープ試験に供した.組織観察にはSEMを用いた. 【結果】(1)Sn-3.5Ag合金では,微細に分散したAg_3Sn粒子の強化作用により,すべての温度と応力域でクリープ速度は強い応力依存性(n≒10)を示す.(2)Sn-3.5Ag合金にCuを添加するとクリープ速度は微減するにとどまる.またクリープ速度の応力および温度依存性はSn-3.5Ag合金のそれと同じである.(3)Sn-3.5Ag-xBi合金の場合,x≦2mass%ならば主としてBiの固溶体強化作用によってSn-3.5Ag合金よりも高応力域でのクリープ強度が上昇する.しかしx≧5mass%の高濃度合金では様相が大きく変り,高温では広い応力域で,また室温では低応力域でクリープ強度がSn-3.5Ag合金よりもかえって低くなる.これは,クリープ変形中のBi粒子の粗大化が低応力ほど顕著となることと,変形温度が高いほどBi固溶量が増し逆にBi粒子体積率が減ることによる. 【総括】Sn-3.5mass%Ag系にCuを微量添加するのはクリープ信頼性の面でも得策だが,Bi添加は信頼性を大きく損なうので推奨できない.この結果は別途得ている疲労試験結果とも対応する.
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[Publications] 大塚正久,苅谷義治: "Sn-Ag-Cuソルダの動的強度"溶接学会マイクロ接合委員会資料. No.30. 55-60 (2000)
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[Publications] 大塚正久,藁科賀示,苅谷義治,谷本守正: "パラジウムめっきQFP/鉛フリーはんだ接合体の機械的信頼性"ファインプレーティング. NO.60. 1-12 (2000)
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[Publications] 大塚正久: "鉛フリーはんだの機械特性について"鉛フリーはんだ実用化セミナーテキスト. 1. 33-50 (2000)
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[Publications] 藁科賢示,苅谷義治,谷本守正,大塚正久: "鉛フリーめっきQFPリード/Sn-3.5Ag接合体の熱疲労損傷"Proc.7th Symp.MATE. 1. 429-434 (2001)
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[Publications] 森畑智雄,苅谷義治,羽沢栄作,大塚正久: "Sn-3.5%Ag系はんだ合金のクリープ疲労寿命予測と損傷機構"Proc.7th Symp.MATE. 1. 435-440 (2001)
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[Publications] 中村久美子,苅谷義治,田中靖則,中岸豊,大塚正久: "Sn-Ag-Cu系はんだによる無電解Ni-Pめっき被覆銅接合体の強度改善"Proc.7th Symp.MATE. 1. 475-480 (2001)
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[Publications] 苅谷義治,大塚正久: "鉛フリーはんだ技術実践ハンドブック"リアライズ社(東京). 253(75-95分担) (2000)