2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11555178
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Research Institution | Research Institute for Electric and Magnetic Materials |
Principal Investigator |
中山 孝文 財団法人 電気磁気材料研究所, 機能材料グループ, 主任研究員 (40164363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 攻 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50014080)
渡辺 雅人 財団法人 電気磁気材料研究所, 薄膜材料グループ, 主任研究員 (40249975)
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Keywords | Fe-Pt系合金 / 永久磁石 / 規則相合金 / 最大エネルギー積 / 精密鋳造法 / 歯科補綴物 / 吸引力 / 磁場解析 |
Research Abstract |
優れた耐食性を有するFe-Pt系永久磁石合金の歯科・医療応用を図る場合、キーパー材に異種金属を用いると耐食性が低下する事が明らかだが、これは、同種のFe-Pt系合金を適用して解決できる可能性がある。そこで、本系合金が、組成により、溶体化処理によって軟磁気特性を示す事を利用し、両者を組合わせた磁石構造体の開発を目指している。 合金の作製には精密鋳造法を用い、通常のマグネシア系鋳型材の他に冷却能の高いグラファイトカーボンも試用し、また、試料には鋳造性改善に効果のあるNb,Siおよび耐食性を向上させるCrを少量添加した。 グラファイトカーボン鋳型を用いた場合、鋳造材の鋳肌は非常に滑らかになったが、磁気特性に対する有効性は明らかでない。得られた合金の電気化学的性質は、単体においては従来の高耐食性が保たれ、両者を組合わせた場合は、単体には及ばないがステンレス鋼に勝る事が判った。なお、上記の添加物は、その量がNbでは1%、Siは0.2%、Crは5%を越えると磁気特性の劣化に結びつき、多量添加が有効でない事も確認された。微量添加物を含む合金は、鋳造材に多く見られる微小クラックや湯境等の鋳造欠陥が比較的少なく、Pt量が少ない軟磁性合金において、減面率70%を超える冷間加工性がある事も判った。 これらの結果を基に、磁場解析シミュレーションを行って、永久磁石の着磁方向と方法、キーパーあるいはヨーク材として軟磁性合金を組合わせた場合の形態と寸法等の最適化をそれぞれ進めている。一例として、円板状試料に四極着磁した場合、漏洩磁束が少なく、高い吸着力が得られる事が確認されたが、これは実験結果と良く一致する。 今後、結晶組織、磁気特性の安定化を目指して結晶粒の微細化を、冷間加工性および機械的性質の向上等を図り、生体適合性に優れた歯科・医療用高機能磁石構造体の開発を目指す。
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