1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11555188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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Keywords | Si(111) / 微傾斜基板 / Sn薄膜 / 成長形態制御 / Keatingポテンシャル / 弾性歪みエネルギー / 歪み緩和 |
Research Abstract |
本研究では、Si(111)基板表面上に微傾斜面(〜6゜)をつくり、その面上にSiおと同じIV族元素であるSnを成長させ、Sn薄膜の成長形態を制御することを狙っている。Si(111)表面は、過去の多くの研究から詳細な知見が得られており、用いる基板として最適である。さらに、Si(111)-(7×7)表面上に成長するSn薄膜は、通常、金属的性質を示すβ相(体心正方構造)を呈する。しかし、微傾斜表面上では低温安定相(13.2℃以下)であるα相(半導体;ダイヤモンド構造)として擬形態成長できる可能性があり、興味深い。そこで、実験に先立ち、Keatingポテンシャルを用いて弾性エネルギーを求めることにより、α-Sn/Si(111)界面でのステップによる歪み緩和を検証した。具体的には、Si(111)微傾斜表面上にα-Sn擬形態層が成長したモデルを構築し、このモデルにおける弾性歪みエネルギーを計算した。複数のモデルからの計算結果を比較したところ、基板であるSi(111)微傾斜表面のテラス幅が小さくなるにつれて、モデル中の弾性歪みエネルギーが減少することが分かった。さらに、Si(111)微傾斜表面上に擬形態成長したα-Snは、α-Sn格子をステップを見下ろす方向に変位させ、界面での歪みをステップ近傍で緩和していることが分かった。このことから、Si(111)微傾斜表面上では、α-Sn/Si(111)界面で蓄積される弾性歪みエネルギーをステップによって効果的に緩和することで、臨界膜厚以上のα-Sn擬形態層が成長できることが示唆される。今後は、これらの結果を踏まえ、Si(111)微傾斜表面上に実際にSn薄膜を成長させ、その過程を反射高速電子回折法および走査トンネル顕微鏡法を用いて評価して行く。
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