2001 Fiscal Year Annual Research Report
その場製造アルカリ土類金属蒸気を用いた新しい鉄鋼精錬プロセスの開発
Project/Area Number |
11555192
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 正道 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70023174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 圭二 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50204144)
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Keywords | 鉄鋼精錬 / 還元精錬 / マグネシウム / 脱硫 / 脱酸 / 炭素熱還元 / アルミニウム熱還元 / マグネシア |
Research Abstract |
その場製造マグネシウム蒸気による高炭素濃度溶鉄の脱硫、脱酸に関する実験を行い、実験結果を速度論的に解析して反応機構を解明し、マグネシウム蒸気による効率的な脱硫、脱酸について考察を加えた。マグネシウム蒸気は、マグネシアとアルミニウムの混合粉末を加圧成形したペレットを耐火物製管(底部に直径1mmの孔を開けたもの)に装入して溶鉄中に浸漬し、溶鉄からの加熱を行い、マグネシアのアルミニウム熱還元反応により製造した。このマグネシウム蒸気をキャリアーガスとともに溶鉄中に吹込み、溶鉄の脱硫、脱酸実験を行った。実験結果の解析は、吹込み気泡中のマグネシウムの物質移動と溶鉄中の硫黄、酸素の物質移動の混合律速モデルを用いて行った。本実験条件下では、マグネシウム蒸気の生成速度が非常に大きく、溶鉄の脱硫、脱酸反応はすみやかに進行し、硫黄、酸素濃度は極低濃度まで短時間で低下した。また、吹込み気泡中のマグネシウム分圧が高いため、溶鉄の脱硫、脱酸速度は溶鉄中の硫黄、酸素の気泡界面への物質移動によって律速されていること、およびマグネシウム蒸気の一部は溶鉄中に溶解したり、未反応のまま溶鉄表面より離脱し、マグネシウムの脱硫、脱酸効率を著しく低下させることを明らかにした。なお、キャリアーガスとして安価な窒素ガスを使用した場合、窒化アルミニウムが生成し、マグネシアの還元率が下がり、ペレットの精錬効率が低下した。マグネシウムによる精錬効率の向上のためには、吹込み気泡中のマグネシウム分圧を下げることが必要であり、キャリアーガス流量の増加、浸漬管内へのペレットの分割投入、マグネシアの還元温度の低下などが有効であることを実証した。 以上より、従来金属マグネシウムを用いた鉄鋼精錬の効率は非常に低いことが知られていたが、操作条件を適切に設定することにより、溶鉄の脱硫、脱酸の高効率化が可能であることを示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Masamichi Sano 他: "Desulfurization of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-Situ by Carbothermic Reduction of Magnesium Oxide"ISIJ International. Vol.41,No.9. 945-954 (2001)
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[Publications] Masamichi Sano 他: "Desulfurization of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-Situ by Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide"ISIJ International. Vol.41,No.9. 965-973 (2001)
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[Publications] 佐野正道 他: "マグネシアの炭素熱還元反応を用いたその場製造マグネシウム蒸気による溶鉄の脱硫"鉄と鋼. 87巻・10号. 635-642 (2001)
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[Publications] 佐野正道 他: "マグネシウム蒸気吹き込みによる、溶鉄の脱酸におけるノズルの閉塞機構"鉄と鋼. 88巻・5号(印刷中). (2002)
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[Publications] 佐野正道 他: "マグネシアのアルミニウム熱還元反応を用いたその場製造マグネシウム蒸気による溶鉄の脱酸"鉄と鋼. 88巻・6号(印刷中). (2002)
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[Publications] Masamichi Sano 他: "Effects of Operating Parameters on Desulfurization of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-Situ by Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide"ISIJ International. Vol.42(印刷中). (2002)
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[Publications] Masamichi Sano 他: "Behavior of Magnesium in the Desulfurization Process of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-Situ by Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide"ISIJ International. Vol.42(発表予定). (2002)
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[Publications] Masamichi Sano 他: "Improvement on Desulfurization Efficiency of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-Situ by Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide"(発表予定).