2000 Fiscal Year Annual Research Report
重油流出等汚染海域の高速浄化を目指した海中林再生技術の確立
Project/Area Number |
11555218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70209328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴村 素弘 中部電力(株), 電力利用技術研究所, 専門研究員
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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Keywords | 海藻 / 組織培養 / 光照射 / 遺伝子導入 / 摂食阻害物質 / ポリフェノール / 再分化 / 種苗生産 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に基づいて以下のような研究実績をあげました。 (1)アラメ増殖培養における光照射の影響 画像処理によるカルス増殖測定システムを作製し、フルカラーLEDを用いて光照射の影響を検討した。青、赤、緑の色調で比較したところ青色がよく、光量子量5.3mmols^<-1>m^<-2>の条件で約1.5倍の増殖促進が確認できた。 (2)増粘剤添加培地を用いたフローストレス軽減培養による再分化体の効率的生産 培養液にアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロース(CMC)といった増粘剤を添加してストレスを低減する培養法を提案し、予備検討として陸上植物であるニンジンを用いたところ、2から3倍の再分化率の向上が観察された。さらに約1年間の長期間にわたって高い再分化能を保持することがわかった。 (3)藻体付着微生物の単離と遺伝子導入微生物の育種 食害を軽減する海水に酵母エキス等の有機栄養物を添加した培地を用い、アラメ藻体に付着している微生物のスクリーニングを行った結果、5種類の桿菌バクテリアの単離に成功した。また、入手可能なCytophaga属細菌も併せて、乾燥ワカメへのそれら微生物の付着能力について検討しところ、Cytophaga属1株で弱いながら付着活性を見いだした。 (4)貝類摂食阻害物質の探索 薄層クロマト用のセルロースシートに茶葉由来の各種ポリフェノールを塗布し、小型貝の代表としてチグサ貝に対する摂食阻害物質を検索した。その結果、酵素活性阻害を示すエピガロカテキンガレート(EGCG)で、顕著な摂食阻害効果を示すことがわかり、食害を軽減する移植方法について見通しが立った。 (5)藻体の海洋移植と食害評価 組織培養で増殖分化させたアラメ藻体をクレモナ糸に固定化した。この固定化藻体を海底の天然石実験区に固定し実海域に投入したが投入15日でかなりの食害を受けることがわかった。
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