2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11555245
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大石 好行 岩手大学, 工学部, 助教授 (90194076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 博 長瀬チバ(株), 技術部・部長
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Keywords | エポキシ樹脂 / シリル化フェノール系硬化剤 / シリル化エポキシ樹脂 / エポキシ樹脂硬化物 / エポキシ樹脂硬化反応 / 低吸水性 / シロキシ基 / 疎水性 |
Research Abstract |
従来のエポキシ樹脂硬化物は,優れた耐熱性,機械特性および接着性を有しているため,半導体封止材を始めとした電子材料に広く用いられている。しかし,硬化物中に水酸基が多く存在しているために,電気絶縁性および誘電特性に問題がある。 そこで,本研究では,良好な電気絶縁性と低誘電率を有する疎水性のエポキシ樹脂硬化物を作製するために,O-シリル化フェノール系硬化剤を用いて新規なエポキシ樹脂硬化反応を開発し,疎水性の硬化物を作製することを目的とした。 まず,O-シリル化フェノール系硬化剤を用いるエポキシ樹脂の硬化反応のモデル反応として,O-トリメチルシリル化ビスフェノールとビスエポキシ化合物の重付加反応を行った。その結果,塩素イオンやフッ素イオンが触媒として有効であり,エポキシ基の開環の際にトリメチルシリル基が親和性の高い酸素原子に移動してトリメチルシロキシ基を有する疎水性のポリアミンが得られることを見いだした。 次に,このモデル反応を基に,O-シリル化ポリビニルフェノールを新規な硬化剤として用い,エポキシ樹脂を硬化させたところ,トリメチルシロキシ基を有するエポキシ樹脂硬化物を簡便に作製することができた。このエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度と熱分解温度はそれぞれ50〜140℃および360〜380℃であり,良好な熱安定性を示した。また,硬化物の水の接触角および吸水率はそれぞれ90〜100℃および0.4〜1.3%であり,良好な疎水性を示した。 以上のように,O-シリル化フェノール系硬化剤を用いてエポキシ樹脂を硬化させることにより,従来のエポキシ樹脂硬化物に比べて,低吸水性で低誘電率および良好な電気絶縁性を有する疎水性のエポキシ樹脂硬化物を作製することができた。
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