2000 Fiscal Year Annual Research Report
室温溶融塩型イオン伝導性高分子の設計とイオニクスデバイスへの組込み
Project/Area Number |
11555250
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大野 弘幸 東京農工大学, 工学部, 教授 (00176968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 哲 TDK(株), 開発研究所, 主任研究員
吉田 修二 四国化成工業(株), 研究センター, センター長
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Keywords | 高分子イオン伝導体 / 室温溶融塩 / 芳香族へテロ環アミン |
Research Abstract |
平成12年度は既に開発した芳香族ヘテロ環の3級アミンを有機酸で中和して溶融塩を得る方法論を駆使して新しい系の展開を行った。特に室温溶融塩をイオニクスデバイスに応用する際に致命的とも言える欠陥があったが、これを解決する試みを行った。室温溶融塩はイオンからなる液体であるため、電位勾配下では、成分イオンが移動してしまい、目的イオンのみの輸送は不可能であった。そこで、カチオンとアニオンを共有結合で結んだZwitter型溶融塩の合成を行った。1分子中にカチオンとアニオンの両者が存在すると、一般に融点は非常に高温となる。イミダゾリウムカチオンであっても例外とはならず、合成した多くのZwitter型塩は室温で粉末の固体であった。そこで、これにイミダゾリウムカチオンと溶融塩形成が期待されるビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)のリチウム塩を添加し、最終的に自由度が高いリチウムイオンのみの伝導を検討した。その結果、多くのZwitter型塩は溶融塩となり、優れたイオン伝導度を示し、リチウムイオン輸率も0.5を超える値が得られた。 溶融塩のフィルム化も試みた。N置換ビニルイミダゾールを各種有機酸で中和して得られるN-ビニルイミダゾリウム塩は溶融塩モノマーであるが、これを重合し、溶融塩ポリマーとした。これにキャリアイオン源となるスルホンイミド塩を加え、イオン伝導性ポリマーとして評価した。その結果、力学強度に優れた高分子で高いイオン伝導度を発現できる系が得られた。さらに、遺伝子であるDNAの核酸塩基構造がヘテロ芳香環であることに注目し、DNAと室温溶融塩の相溶性が高いと予測し、溶融塩を含有するDNAフィルムの作成を行った。溶融塩の一種であるポリエーテル/塩ハイブリッドの添加系でもイオン伝導性DNAフィルムが得られ、環境にやさしいイオン伝導性高分子膜の作成の可能性を見出すことができた。これらは高分子中で溶融塩ドメインを連続して保持し、しかも成膜性に優れた系である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kato,K.Ito,and H.Ohno,: "Preparation and ionic conductivity of PEO oligomers having thiolate groups on the chain ends"J.Solid State Electrochemistry,. 4. 141-145 (2000)
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[Publications] H.Ohno and N.Takizawa,: "Ion conductive and flexible DNA films"Chem.Lett.,. -. 642-643 (2000)
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[Publications] Y.Tominaga and H.Ohno,: "Lithium ion conduction in linear-and network-type polymers of PEO/sulfonamide salt hybrid"Electrochimica Acta,. 45. 3081-3086 (2000)
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[Publications] M.Yoshizawa,E.Marwanta,and H.Ohno,: "Preparation and characteristics of natural rubber/poly (ethylene oxide) salt hybrid mixtures as novel polymer electrolytes"Polymer,. 41. 9049-9053 (2000)
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[Publications] Y.Tominaga,T.Mizumo,and H.Ohno,: "Ionic conductivity of PPO/sulfonamide salt hybrids and their network polymers"Polym.Adv.Technol.,. 11. 524-528 (2000)
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[Publications] M.Hirao,K.I-Akita,and H.Ohno,: "Polymerization of molten salt monomers having phenylimidazolium group"Polym.Adv.Technol.,. 11. 534-538 (2000)