2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来の新規グリコシダーゼを利用した新しい植物香気生成技術の開発
Project/Area Number |
11556025
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授 (20087563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 繁 天野エンザイム(株), 中央研究所, 研究員
小池田 聡 天野エンザイム(株), 中央研究所, チームリーダー
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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Keywords | プリメベロシダーゼ / ジグリコシダーゼ / 香気生成 / 二糖配糖体加水分解酵素 / チャ樹 / Aspergillus fumigatus |
Research Abstract |
烏龍茶や紅茶の花様の香りが二糖配糖体であるβ-プリメベロシドとして存在し,β-プリメベロシダーゼの作用により生成し、この様な香気生成機構は種々の花や果物、ワインなどの香気生成にも関与していることが明らかなりつつある。この様な背景から,プリメベロシダーゼの大量生産の道を拓き、その応用を目指して研究を進め下記の成果を得た。 (1)チャ樹プリメベロシダーゼの酵素学的性質の解明とcDNAのクローニングおよび大量発現系の構築 化学合成および天然から得た各種の2-フェニルエタノールの二糖配糖体を用いて基質特異性を調べた。本酵素は単糖配糖体のβ-D-グルコシドは分解せず、二糖のβ-プリメベロシドに特に高い特異性を示し、天然に存在するその他の二糖(β1-6)配糖体をわずかに分解するにすぎないことが明らかになった。クローニングにより明らかになったアミノ酸配列から、N-グリコシド糖鎖による修飾が示唆された。アミノ酸配列は、青酸配糖体を加水分解するβ-グルコシダーゼと約60%の相同性を示した。大腸菌で発現させたところ、ほとんどの発現タンパク質は凝集体となり、活性タンパク質は微量得られた。 (2)プリメベロシダーゼ産生微生物のスクリーニング サザンカから大量抽出したオイゲニルβ-プリメベロシドを唯一の炭素源として、土壌微生物をスクリーニングし、4種のプリメベロシダーゼ活性を示す菌株を見いだした。最も活性の強かったAspergillus fumigatus Pr20株からの精製酵素(47kDa)は、その他の二糖配糖体や修飾されたβ-D-グルコシドも基質にできることが明らかとなった。 (3)A.fumigatus Pr20株のプリメベロシダーゼ様二糖配糖体特異的加水分解酵素(ジグリコシダーゼ)遺伝子のクローニング A.fumigatus由来ジグリコシダーゼのクローニングにより、アミノ酸配列が明らかとなった。茶由来β-プリメベロシダーゼとは14%の相同性であった。本酵素遺伝子の発現を酵母と糸状菌で試みたところ、糸状菌で大量発現に成功した。 (4)新規ジグリコシダーゼ処理による植物内在性香気前駆体からの香気生成 チャ葉抽出物およびブドウ果汁に作用させて生成する香気成分を調べたところ、多量の香気成分の生成が確認され、紅茶やワインの新しい製法への応用の可能性が示された。
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[Publications] Sakata,K.: "高砂香料シンポジウム1999(東京)プロシーディング"Molecular Basis of Aroma Formation during Tea Processing and Flower Opening. 57-71 (1999)
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[Publications] Sakata,K.: "Caffeinated Beverages.Health Benefits,Physiological Effects, and Chemistry, ACS Symposium Series 754"β-Primeverosidase relationship with floraltea aroma formation during processing of oolong tea and black tea.. 327-335 (2000)