1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11556043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大野 研 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90144229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 紀巳子 有限会社, 色彩環境計画室, 代表
大野 博之 応用地質株式会社, 技術本部河川部, 主任
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Keywords | 農村景観 / フラクタル / 風土 / 景観設計 / 景観評価 |
Research Abstract |
本年度は農村景観の美しさを検討するために、フラクタル理論を応用した景観評価手法を5種類開発し、風景画、農村CD-ROM写真集、我々で撮影した農村風景写真および河川を中心とした農村風景写真に対して適用し、農村景観の評価を適切に行う方法を検討した。開発した評価法は、(1)写真のエッジを抽出し、その後ボックスカウンティング法でフラクタル性を検討するもの、(2)写真の色分布を色彩空間上に変換し、その空間でのフラクタル性を検討するもの、(3)写真の色分布の変化を、色彩空間上の距離で決定し、その変動をスケール変換してフラクタル性を検討するもの、(4)(3)と同じく写真の色分布の変化を決定し、その変動を空間周波数解析してフラクタル性を検討するもの、(5)(3),(4)と同じく写真の色分布の変化を決定し、その変化をセミバリオグラムで定義し、フラクタル性を検討するものである。一方解析対象とした風景画は、日本の浮世絵と、印象派の風景画である。ヨーロッパでは一般に風景画とは、田園風景を描いた絵と認識されているので、農村景観解析に適した対象である。解析結果は、フラクタル性が良く成立するというものであった。これは、フラクタル性の成立の良し悪しを景観の良し悪しの判断材料にすることができる可能性を示している。しかし、美しい景観を撮影しているハズのCD-ROM写真集と、それよりは美しさが落ちると思われる我々の撮影した農村風景写真では、どちらかと言えば、我々の撮影した農村風景写真の方がフラクタル性が良く成立した。けれども、フラクタル次元による地域性の違いを示す結果も得られ、風土を生かした景観設計への一歩になっていると思われる。河川を中心とした風景に対しては、5種類すべての景観評価手法を適用した。その結果、1種類の評価手法のみによる場合よりも、幾つかの手法を組み合わせたときの方が、的確に景観の評価ができることが判明した。
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