2001 Fiscal Year Annual Research Report
作物の光阻害を抑制する水処理および栽培管理法の開発
Project/Area Number |
11556046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富士原 和宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30211535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 敬子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50332599)
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Keywords | 光阻害 / 活性酵素 / 光質(光波長組成) / 過酸化水素 / luminol |
Research Abstract |
植物葉に青色光を照射すると、光阻害を引き起こす余剰な光エネルギを熱として放散する機能を担うゼアキサンチン(キサントフィルサイクルの構成色素)が増加するという報告がある。そこで、青色光照射が植物の光阻害耐性を高める可能性があると推察し、その検証の第一段階として、青色光照射がゼアキサンチンなどの色素量や他の関連物質量に及ぼす影響を調べることにした。 本年度は、そのための栽培装置と栽培光源ユニットの作成を行い、実験を開始した。光源には青色(470nm)と赤色(660nm)の発光ダイオードを(LED)を選択し、それらのLEDを1枚のパネルに装着した。各色のLEDへの電圧を制御することで赤色光と青色光の混合比率を調整可能とした。現在、赤色光と青光の混合比率が異なる環境下でイネを栽培中である。 また、植物葉の光阻害耐性の評価には、光阻害の強度を可視化して診断する方法の開発が必要である。そこで本年度は、光阻害の原因物質である活性酸素の存在状態を可視化画像として取得し、その画像から活性酸素発生量を定量するという全く新しい光阻害強度診断法の開発に向けた研究も同時に行った。その結果、次の点が明らかとなった。 1.インゲン葉の全面に2.5mm間隔でおよそ0.1mmの穴をあけ、その葉をH_2O_2の化学発光プローブであるluminolに一定時間浸漬することで、葉からの発光をVIMカメラ(当該科研費により購入)により検出可能となった。 2.インゲン葉をMethyl viologenに浸潰することで、葉から強制的にH_2O_2を発生させると、検出される発光強度が増加したことから、その可視化画像からH_2O_2の発生量を定量できる可能性が示唆された。 3.葉に穴を開けるという処置のみでも微弱な発光が検出されたことから、その発光をバックグラウンドとして差し引くための方法を見出す必要がある。
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