2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市環境・生産環境における夏季昇温の抑制法の開発と影響評価
Project/Area Number |
11556047
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 義則 九州大学, 農学研究院, 教授 (70081495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 哲二 (株)香蘭社, 研究開発部, 研究職
|
Keywords | ヒートアイランド / 都市環境 / 生産環境 / 気化潜熱 / 暑熱 / 屋上植栽 / 保水性セラミックタイル / 表面温度 |
Research Abstract |
東京や福岡市などの大都市はここ100年間で2℃以上もの昇温を示し,ヒートアイランド現象が顕著となっている.地球の温暖化傾向がある今,地球に過剰な負荷をかけることは抑制しなければならない.日本のような多湿地帯では,都市の原風景は植生地であった.すなわち,都市のあるべき環境を環境倫理の立場からみれば,植生地並の環境に戻すことである.都市は植生地に対して構造物による蒸発の低減とエネルギーの集中使用に最大の相違点がある.前者に注目すれば,都市構造物に蒸発機能を持たせばよいことになる. そこで,保水性セラミックスを倉庫の屋根面に敷設して夏季の昇温抑制について検討した.夕方の散水により翌日真昼の日射量が最強時刻において,屋根表面温度で20℃もの降温を実現できた.このときの水分蒸発量は0.75mm/hrであり,この気化潜熱が機能した結果である.生産環境面では畜舎の改善を図るため,保水性セラミックスとトタンの屋根とを設置し,ヤギ自身に判定させたところ,暑熱時には前者に3頭後者に1頭滞在しており明確な差を示した.熱放射低減効果による. つぎに,福岡市の都心にある植栽ビルを対象として暑熱緩和について観測した.このビルは南面を段々畑に模したスタイルで約38,000本の植物が植え付けられた屋上緑化型である.この場合も夏季真昼にコンクリート表面に比して,植栽部は30℃もの降温を示した.培地の水収支(→根の吸水量),植栽部表面の熱収支から,潜熱転換量が大きいことが効果の主因であることが示された.これらの熱的変化の人体への影響評価を行った.熱放射の向きがそれまでとは全く逆となって,夏季においてすら人体からの放出を招いており,好影響を与えることが明らかにされた.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 鈴木義則: "保水性セラミックの屋根面敷設による夏季の内外表面温度の改善"九州の農業気象. II-8. 65-68 (1999)
-
[Publications] 尾崎哲二: "保水性建材を用いた市街地熱環境計画手法"空気調和・衛生工学会講演論文集. 1999. 1409-1412 (1999)
-
[Publications] 鈴木義則: "保水性セラミックタイルの暑熱対策利用例"九州の農業気象. II-7. 41-44 (2000)
-
[Publications] 鈴木義則: "地球温暖化問題,グローバルからローカルまで"九州の農業気象. II-7. 46-75 (2000)
-
[Publications] Yoshikoshi,H.Suzuki,Y: "An example of thermal environment control by greenery cover Over roofs of a building in urban area"Proc.Of the Intern'l Symp.on Lowland Technology, Saga University, October 2000. 471-478 (2000)
-
[Publications] 鈴木義則: "建築物の改良・改善によるヒートアイランド対策-保水性セラミックタイルの利用"緑の読本. 57(印刷中). (2001)
-
[Publications] 早川誠而,真木太一,鈴木義則: "耕地環境の計測・制御-役立つ新しい解説書-"養賢堂. 273 (2001)