2000 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来のアクチン重合阻害物質:研究試薬としての実用化と医薬への応用
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11556057
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
唐木 英明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60011912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
伏谷 伸宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012010)
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Keywords | アクチン / ペクテノトキシン / 海洋天然化合物 / 腎上皮細胞 / ウイルス感染 |
Research Abstract |
新規アクチン重合阻害剤ペクテノトキシン2(PCTX-2)のアクチン重合阻害作用機序について、初年度はその一般的性質の検討を行ったが、本年度はPCTX-2の何分子がアクチンと結合するかという、stoichiometryについての検討を行った。さらに、試薬としての応用例としてミカロライドB(ML-B)とサイトカラシンD(Cyt-D)のウイルス感染への影響について検討も継続し、新たな作用を解明することが出来た。 1.ペクテノトキシン2のアクチン重合阻害作用機序 PCTX-2は、アクチンを主成分とするストレスファイバー形成を抑制することから、アクチン重合阻害物質であることが疑われ、単離骨格筋アクチン標品を用いたアクチン重合への影響を検討することでこれを確認した。PCTX-2にはアクチン線維を切断する作用はなく、アクチンモノマーと結合してこれを隔離することによりアクチン繊維の脱重合を生じることが明らかにされた。さらに、Cyt-Dのようなcapping機構は持たないことが示唆され、これまでに報告されていない新しいアクチン脱重合剤であることが明らかとなった。Stoichiometryを調べたところ、ペクテノトキシン1分子に対してアクチン4分子という興味ある値が得られた。 2.アクチン重合阻害の生物学研究への応用例 腎上皮細胞由来のVero細胞を用い、イヌジステンパーウイルス(CDV)の感染・増殖・放出系に対するアクチン重合阻害剤の作用を検討した。ML-B、Cyt-D(1μM)ともに、ウイルス増殖を抑制したが、このとき、ウイルス蛋白の1つであるN蛋白の発現には変化がみられなかった。このことから、アクチンはウイルス粒子の組立段階に関与していることが示唆された。また、N蛋白質の細胞内分布を共焦点蛍光顕微鏡でとらえることにも成功した。 上記の研究は現在投稿準備中である。研究発表欄には昨年度成果が論文となったのでこれを記す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Katayama,M.Hori,K.Sato, ら: "Role of actin fiber formation in host cells for the multiplication of canine distemper virus."Jpn.J.Pharmacol.. (In press). (2000)
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[Publications] R.Yoshimoto ら: "Proteolysis of acidic calponin by μ-calpain"J.Biochem.. 128. 1045-1049 (2000)
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[Publications] K.Takahashi ら: "Regulation of shortenning velocity by calponin in intact contracting smooth muscles"Biochem.Biophys.Res.Comm.. 279. 150-157 (2000)