2000 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚外科学領域における実験用ヘアレス犬の有用性に関する多面的解析
Project/Area Number |
11556059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
小野 憲一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
木村 透 日本農産工業中央研究所, 主任研究員
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Keywords | 実験用ヘアレス犬 / 創傷被覆材の評価系 / 絹フィブロイン / キチン製材 / キトサン製材 |
Research Abstract |
本年度はヘアレス犬の皮膚を評価系として用い、創傷被覆材の安全性と創傷治癒促進効果について検討した。 実験1(安全性の確認)には(1)キトサン、(2)キチン、(3)ブタ真皮製材、(4)キトサン製材および(5)キチン製材をヘアレス犬の背部剥離創に適用した。その結果、(2)、(3)では炎症反応が生じる場合があり、(4)では炎症が激しく、(5)では創傷治癒促進効果は認められなかった。病理組織学的にも、炎症の生じた(2)、(3)では、表皮の肥厚・変性、真皮層での炎症性細胞浸潤がみられた。(4)では、創傷周辺の表皮・真皮両層および肉芽組織に高度の炎症細胞浸潤が認められた。また、(5)では肉芽形成および上皮再生は抑制されていた。 実験2(創傷治癒促進効果)では、(1)絹フィブロイン、(2)ブタ真皮製材、(3)ハイドロコロイドの3種の創傷被覆材をヘアレス犬の採皮創に処置した。(1)、(3)では無処置部位に比べて上皮再生が促進しており、特に(3)で創傷治癒効果が優れていた。一方、(2)では上皮再生が抑制され、創傷治癒も遅延した。病理組織学的に、(1)では痂皮を伴わずに表皮の再形成が認められた。(2)では表皮の再形成が遅延し、炎症細胞浸潤も認められた。(3)では表皮にメラニン顆粒の再分布および真皮層に膠原線維・弾性線維の新生が認められた。 以上のように、実験用ヘアレス犬は創傷被覆材の安全性および創傷治癒促進効果の評価系として有用であることが示された。本年の研究成果については目下3編を投稿中である。
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