2001 Fiscal Year Annual Research Report
経口寛容成立・維持におけるMAdCAM-1分子の関与-関節炎モデルを用いた解析
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11557037
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宮坂 信之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸塚 哲也 ノバルティスファーマ(株), 研究本部, 研究員
小池 竜司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50250220)
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Keywords | MAdCAM-1 / 経口寛容 / 慢性関節リウマチ |
Research Abstract |
1.関節炎モデルラットに対する抗MAdCAM-1抗体投与の影響 7週令ルイスラットに完全アジュバントを投与することにより作製したアジュバント関節炎モデルに対して、アジュバント投与日より週3日2週間、抗MAdCAM1中和抗体あるいは非中和抗体1mgを腹腔投与した。その結果、関節炎の発症率、程度において両抗体投与群の間に有意差を認めなかった。 2.関節炎経口寛容モデルに対する抗MAdCAM-1抗体投与の影響 Weinerの経口寛容誘導の方法に従い、7週令ルイスラットに誘導したアジュバント関節炎ラットに対してアジュバント投与の2、4、7、10日前に1mlのPBSに溶解したII型コラーゲン30μg、あるいはPBS 1mlを経口投与した。さらにアジュバント投与11日前から1日前まで連日0.5mgの抗MAdCAM-1抗体あるいはコントロールとして抗c-Myc抗体を腹腔投与した。その結果、抗MAdCAM-1抗体の投与により経口寛容の誘導が阻害されることが明らかとなった。 3.胎仔、新生仔ラットの皮膚及び胸腺血管内皮細胞におけるMAdCAM-1発現の解析. 抗MAdCAM-1抗体を用いた免疫組織化学的方法を用いて胎仔、新生仔ラットの皮膚及び胸腺におけるMAdCAM-1発現を経時的に解析したところ、MAdCAM-1は胎仔皮膚に発現しているが、生後急速にその発現が減少することが明らかとなった。また、胎仔、新生仔胸腺では皮質髄質境界部と小葉間結合組織の血管内皮細胞にMAdCAM-1が発現していることが判明した。 4.新生仔ラット胸腺細胞のMAdCAM-1結合性の検討 可溶性MAdCAM-1/IgGキメラ蛋白を用いたフローサイトメトリーによりラット胸腺細胞のMAdCAM-1結合性を検討したところ、成熟ラット胸腺細胞に比較して新生仔ラット胸腺細胞が有意にMAdCAM-1結合性が高かった。また、結合する細胞はCD3陽性のCD4, CD8シングルポジティブあるいはダブルポジティブ細胞であり、さらにこの結合は抗MAdCAM-1抗体及び抗インテグリンα4β7抗体で阻害された。 以上より、MAdCAM-1は経口寛容の誘導に関与している可能性があり、また胎仔、新生仔のリンパ組織発生にも関与している可能性があることが示唆された。
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[Publications] T.Iizuka. T.Tanaka, M.Suematsu, et al.: "Stage-specific expression of mucosal addressin cell adhesion molecule-1 during embryogenesis in rats."Journal of Immunology. 164. 2463-2471 (2000)
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[Publications] H.Satoh, T.Iizuka, R.Koike, N.Miyasaka, et al.: "Assignment of the MAdCAM 1 gene to rat chromosome 7q11.2-q12 by fluorescence in situ hybridization, somatic cell hybrids and linkage analysis"Cytogenetics and Cell Genetics. 86. 223-224 (1999)