2000 Fiscal Year Annual Research Report
小型霊長類コモンマーモセット造血系を用いたヒト正常ならびに異常造血の再構築
Project/Area Number |
11557073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 憲三朗 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00183864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 洋実 筑波大学, 医学専門学群, 講師 (60261799)
谷岡 功邦 実験動物中央研究所, 実験動物センター, センター長(研究職) (10072406)
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
井関 徹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10232365)
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Keywords | コモンマーモセット / ヒト造血モデル / 白血病疾患モデル / 異種間移植 / HLA遺伝子型 / CD34陽性細胞 / 臍帯血細胞 / 造血キメラ |
Research Abstract |
コモンマーモセットを用いたヒト正常造血モデル、ならびに白血病疾患モデル動物を作製するための基盤技術を開発することを目的に、以下の研究を行った。 a)ヒト正常造血ならびに白血病霊長類モデルの作製:ヒトCD34に対する単クローン抗体を用い、ヒト臍帯血造血幹細胞分画を単離・濃縮後、妊娠コモンマーモセットの胎児腹腔内へ、超音波ガイド下に現在まで8母体、16胎児へ経母体腹壁的に異種間移植を行った。またヒト慢性骨髄性白血病患者の急性転化時期の株化白血病細胞BV173、IMS-BC1ならびにMeg-01を上記と同様の方法で、現在まで7母体、14胎児の腹腔内へ異種間移植した。研究開始当初は使用した超音波診断装置の解像度が低く、胎児自体への的確な接種がされていなかった可能性、ならびに免疫抑制剤を使用しなかった為の異種免疫が誘導された可能性が、流産頻度ならびにキメラ造血形成が認められなかった結果より示唆された。現在免疫抑制剤の使用に加え、解像度に優れる超音波診断装置を使用しており、流産頻度が極めて低くなり、的確な接種が可能となった。 b)免疫学的応答の解析:コモンマーモセット末梢血リンパ球を免疫ビーズ法を用いて抗ヒトCD4,CD8,CD56の各抗体に陽性のリンパ球分画を分取する事が出来、PHAを用いた増殖反応解析結果からCD4,CD8陽性細胞画分はマーモセットにおいても機能を有するものと考えられた。またCD56陽性画分がマーモセットNK細胞であるかどうかを現在解析中である。 以上の様にコモンマーモセットは造血系のみならず、免疫系でもヒトと相同性があることが示された。本細胞移植法の開発により当初は困難であったコモンマーモセット胎児への異種細胞移植が安全に可能となってきているものの、現段階では明らかな造血キメラはまだ検出されていない。しかし頻回投与、免疫抑制剤の併用などによる検討を開始しており、キメラ作製の効率化について今後もさらに研究を重ねる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tanabe T.,Tani,K., et al.: "Suppression of progression of chronic myelogenous leukemia in mice by an allosterically controlled ribozyme."Nature. 406. 473-474 (2000)
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[Publications] Wu,M-S.,Tani,K., et al.: "MHC (Major Histocompatibility Complex) -DRB Genes and Polymorphisms in Common Marmoset."J.Mol Evol. 52. 214-222 (2000)
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[Publications] Tanabe T.,Tani,K., et al.: "Maxizyme, novel allosterically controllable ribozymes, can be designed to cleave various substrates."Biomacromolecules. 1. 108-117 (2000)
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[Publications] Watari,K.,Tani,K., et al.: "Hyperfunction of neutrophils in a BCR/ABL-negative chronic myeloid leukemia : A case report with in vitro studies."Cancer. 89. 551-560 (2000)
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[Publications] Tani,K., et al.: "Progress reports on immune gene therapy for stage IV renal cell cancer using lethally irradiated granulocyte-macrophage colony-stimulating factor-transduced autologous renal cancer cells"Cancer Chemother Pharmacol. 46. S73-S76 (2000)
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[Publications] 谷憲三朗,浅野茂隆: "遺伝子治療の新展開-遺伝子治療研究の現状と将来"羊土社. 10-18 (2000)
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[Publications] 谷憲三朗 他: "分子細胞治療vol.1 免疫遺伝子治療の新展開"先端医学社. 48-53 (2000)