1999 Fiscal Year Annual Research Report
胸部大動脈瘤の低侵襲血管内治療における脊髄虚血障害の予知と対策に関する研究
Project/Area Number |
11557101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石丸 新 東京医科大学, 医学部, 教授 (50112785)
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Keywords | 胸部大動脈瘤 / 脊髄虚血 / 対麻痺 / ステントグラフト / 血管内治療 / 一時留置型ステントグラフト / ステントグラフト回収装置 |
Research Abstract |
安全確実な血管内治療の実現を目標として、脊髄虚血予知法について統計学上の有意性を証明するとともに、脱着可能な回収装置を独創して虚血評価後に内挿型人工血管を永久留置する方法について検討した。 1)脊髄虚血の危険性が高い胸部下行遠位部大動脈瘤12例を対象とし、血管内で任意に拡張および収縮回収できる一時留置型血管内人工血管システムを用い、脊髄誘発電位の連続監視によって虚血障害発生の予知を行った。自己拡張型ZステントをePTFEで被覆した屈曲対応型の血管内挿型人工血管を、血管内超音波カテーテルを用いて動脈壁への適合性を確認しつつ、永久型ステントグラフト留置予定部位に一時的に内挿した。全症例において脊髄誘発電位の波高および線次に変化を認めず、これを回収した後に永久ステントグラフトを内挿した。全例で術後に神経障害の発生は認められなかった。昨年度までに施行した30症例に、今回の12症例を追加した全42症例において、対麻痺の発生率は0%であり、文献的調査から得られた発生率7%と比較し、統計学的有意に低率であることが証明された。 2)複数のステンレス製の誘導線を束ね、これを多チャンネルカテーテルシース内に格納するステントグラフト回収装置を設計製作した。永久留置を目的として企業製造された血管内挿型人工血管に当該回収装置を装着し、その回収操作が可能であることを確認した。さらに、画像処理用コンピューターを使用して、胸部大動脈瘤の3-D CT画像から作成したシミュレーション回路を用い、装置の回収動作が正確に行われることを確認した。 以上より、一時留置型血管内挿型人工血管の使用により、胸部下行大動脈瘤の治療における重大合併症である対麻痺の予知か可能であることを明らかにした。さらに、血管内挿型人工血管(ステントグラフト)を血管内において脱着でき、しかも回収することが可能なシステムを開発することができた。
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