2001 Fiscal Year Annual Research Report
VHL遺伝子異常を利用した末梢血中の腎癌細胞の同定と腎細胞癌腫瘍マーカーへの応用
Project/Area Number |
11557118
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
執印 太郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (80179019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00260787)
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Keywords | 腎細胞癌 / 血中幡種 / VHL遺伝子異常 / nested RT-PCR / 腫瘍マーカー / リンパ節転移 |
Research Abstract |
ヒト腎癌では特に血行性転移が主な原因であり血中に持続的に腫瘍細胞が存在していることが強く示唆される。本研究の目的は、腎細胞癌のVHL病遺伝子の変異に特異的なPCR primerを作成し、患者末梢血のcDNAより2段階のPCR(nested RT-PCR)を行うことで、腎癌細胞が末梢血に存在する事を証明することである。その結果を臨床的に転移の可能性を持つ患者を選別することを目指した。PCR反応は塩基配列特異的におこなわれるので、癌細胞が持つVHL遺伝子異常に特異的なPCR primerを作製すれば、末梢血中に少数存在する腎癌細胞が末梢血のDNA検体より判定できる。現在、腫瘍マーカーとして有効なものがない腎癌患者の90%を占める淡明細胞型腎癌の症例ではこの方法が転移の可能性を持つ患者を選別する腫瘍マーカーとして利用できる可能性がある。これを腎癌30症例で検討した。同様にリンパ節、尿中に同様のVHL遺伝子異常を持つ細胞が同定できるかを同様の方法で検討し、リンパ節転移や尿中の腫瘍マーカーとして応用可能かを検討した。その他の蛋白マーカーも免疫組織学的に検討を加えた。我々の上記の計画による検討の結果、ヒト腎癌の症例の40%で手術直後に血中よりVHL遺伝子異常が同定できた。即ち腎癌細胞が血中に存在する事が確定した。その時期は術直後から1ヶ月までの異なった時期で血中に観察され、患者によって様々の傾向が観察された。特に手術中(直後)の腎臓の腎静脈内からは90%の症例で血中よりVHL遺伝子異常が同定できた。即ち、腎静脈内よりは殆どの症例でおそらく手術手技により腎癌細胞が血中に播種されていたことが明らかになった。一方、リンパ節、尿中ではそれぞれ0%、20%の頻度で腎癌細胞が検出された。現在は定量性を含めその意義を検討中である。そのほかの蛋白マーカーについても免疫組織学的に検討中である。
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