2000 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス・DNaseγを指標とした悪性腫瘍の診断および治療法の開発
Project/Area Number |
11557119
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 哲 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90251264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
大須賀 穰 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80260496)
百枝 幹雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50221627)
木村 達治 東燃(株), 総合研究所, 研究職員
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Keywords | アポトーシス / 悪性腫瘍 / 卵巣がん / 子宮内膜がん / DNA断片化 / DNase / ペプチドアナログ / GnRHアナログ |
Research Abstract |
RT-PCRによりヒト上皮性卵巣がん細胞株(HTOA、OV-1063、OVCAR-3)、ヒト子宮内膜がん細胞株(HEC-1、HHUA)において、GnRHおよびGnRHリセブターのmRNAの発現が確認された。また、上記がん細胞株において、DNascγおよびCAD(caspase 3-activated DNase)のmRNAの発現がRT-PCRにより確認された。ヒト上皮性卵巣がん細胞株HTOA細胞培養系において、GnRHアゴニスト(buserelin)およびアンタゴニスト(cetrorelix)によるアポトーシス誘導がTUNEL法により確認されたが、後者の効果がより大きかった。ヌードマウスに移植されたHTOA腫瘍の増殖は、buserelinとcetrorelixの持続投与(100μg/day)により同程度に抑制されたが、この増殖抑制のメカニズムの一つとしてアポトーシスが考えられるため、現在、DNaseγとの関連について検討している。一方、HTOA細胞培養系においてEGFにより促進されたチロシンキナーゼのリン酸化反応がbuserelinおよびcetrorelixにより抑制されたが、細胞周期停止も増殖抑制のメカニズムの一つとして考えられ、さらなる検討を要する。我々が既に作製済みの抗DNaseγポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の性状について検討したところ、いずれにおいても認識特異性の点で問題のあることが判明した。実際、このモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法により、上記5種の細胞株におけるDNaseγのタンパクレベルでの発現を確認できなかった。これらの問題点はDNaseγの一次構造が他のDNase Iファミリーエンドヌクレアーゼにも高度に保存されていることに起因すると考えられた。そこで、DNaseγにユニークなC末端塩基性ドメインを抗原に用いヒトDNaseγを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を試み、2つのモノクローナル抗体(mAb)、hg302及びhg303を得ることに成功した。今回新規に作製されたDNaseγ特異的モノクローナル抗体は、DNaseγを特異的に検出するELISA系およびウエスタンブロット系を構築するにあたり十分な特異性を有していることが明らかとなった。
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