2001 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子異常に伴う難聴の発症機序に関する研究
Project/Area Number |
11557125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60251302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雄一 国立精神・神経センター, 微細構造, 部長 (20225668)
浅野 知一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70242063)
伊藤 健 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50251286)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子 / 難聴 / 蝸牛 / 血管系 / 有毛細胞 / 脳筋症 |
Research Abstract |
ゲルマニウム食をモルモットに与え、内耳、筋肉、腎臓、心臓の病理変化やミトコンドリアの変化を調べる実験を継続して行なった。この結果ゲルマニウム0.05%食、0.15%食では6ヶ月まで病理学的に明らかな異常は見られず難聴も生じず、1%のゲルマニウム食を与えたところ、急性腎毒性により2週間頃にすべての動物が死亡した。一方0.5%ゲルマニウム食を投与したところ、体重は全く増加せず、2ヶ月までに著明な筋萎縮と約40dBの難聴が出現することが判明した。この系では2-3ヶ月後にほとんどの動物が死亡するため、2ヶ月のデータを解析した。この結果、内耳では血管条のミトコンドリアにゲルマニウムが沈着し、ミトコンドリアの変性および血管条全体の萎縮・空胞変性が見られた。一方支持細胞はゲルマニウム沈着・変性があるものの有毛細胞はほぼ保たれていた。前庭もほぼ正常であった。骨格筋・腎臓でもゲルマニウムの沈着、ミトコンドリア変性が顕著であったが、心臓・肝臓はほぼ正常であった。この結果は人のミトコンドリア脳筋症に類似しており、ミトコンドリア病の良い動物モデルであること、このモデルの難聴は主に血管条変性によることが判明した。人の難聴症例でも引き続きミトコンドリア遺伝子を解析しており、これまで1家系しか見られていないT7511C点変異を発見し、現在家系の解析中である。
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