2001 Fiscal Year Annual Research Report
上気道感染症予防ワクチンの開発とその粘膜免疫応答に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11557126
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
黒野 祐一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80153427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮之原 郁代 鹿児島大学, 医学部・付属病院, 講師 (40305131)
牛飼 雅人 鹿児島大学, 医学部・付属病院, 講師 (00284886)
松根 彰志 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (00253899)
出口 浩二 鹿児島大学, 医学部・付属病院, 助手 (50315438)
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Keywords | 上気道 / 粘膜ワクチン / インフルエンザ菌 / P6 / ナノスフェア / 経鼻免疫 / コレラトキシン / エンドトキシン |
Research Abstract |
1)粘膜免疫のためのドラッグ・デリバリーシステムとしてのナノスフィアの応用 前年度の研究結果から、組み換えP6(rP6)、そしてこれにミュータントコレラトキシンAサブユニットを融合させたmCT-rP6単独では、十分な粘膜免疫応答が得られないことが判明した。そこで、新たなかつヒトに応用可能な粘膜免疫アジュバントもしくはドラッグ・デリバリーシステムの開発が必要と考え、現在HIVワクチンへの応用が期待されているナノスフィアを用いることを計画した。 2)ナノスフィア結合卵白アルブミンに対する粘膜免疫応答 卵白アルブミンにナノスフィアを結合させ、これをマウスに週1回、3回経鼻投与し、その粘膜免疫応答を観察した。その結果、ナノスフィア結合卵白アルブミンで鼻腔洗浄液中のIgA応答が誘導できるものの、その反応はコレラトキシンを粘膜アジュバントとして用いたものよりも弱かった。したがって、さらに高濃度の卵白アルブミンを結合したナノスフィアを用いることが必要と考えられた。 3)扁桃リンパ球のエンドトキシンに対する免疫応答 ヒト口蓋扁桃から分離された単核球をインフルエンザ菌から精製したエンドトキシンで刺激し、その免疫応答を末梢血単核球と比較した。その結果、扁桃単核球からの炎症性サイトカイン産生は末梢血単核球よりも有意に低下していた。すなわち、上気道反復感染に、免疫担当細胞の細菌抗原に対する低応答が関与していることが示唆され、この免疫学的賦活化がワクチン療法の応用に必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 黒野祐一: "経鼻ワクチン開発へ向けて-最新の展開-"炎症と免疫. 9(6). 632-637 (2001)
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[Publications] 黒野祐一: "院内感染症の現況とその取り扱い ペニシリン耐性肺炎球菌(PISP, PPSP)"耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 1. (2002)
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[Publications] Watanabe T.: "Role of Interleukin-1β in a murine model of otitis media with effusion"Ann Otol Rhinol Laryngol. 110(6). 574-580 (2001)
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[Publications] 松根彰志: "低酸素下LPS刺激による鼻茸線維細胞のVEGFとケモカイン"日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌. 19(1). 105-108 (2001)
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[Publications] 福岩達哉: "原発性免疫不全症を合併したペニシリン耐性肺炎球菌による小児反復性急性乳様突起炎の1例"J Otolaryngol Jpn. 104. 1089-1092 (2001)