2001 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性リポソームを用いた薬物送達システムによる脈絡膜新生血管への光化学療法
Project/Area Number |
11557128
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
田邉 晶代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80243020)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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Keywords | 温度感受性リポソーム / 薬物送達 / 脈絡膜新生血管 / 加齢黄班変性症 / 光化学療法 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
本年度は、眼底カメラではなく、細隙灯顕微鏡にレーザーを組み込むための開発および改良をトフコン社と共同で行った。まずアルゴンレーザー(490nm)を観察光として細隙灯顕微鏡に導入することができた。次に眼底を41度程度に温め、リポソームに内包した蛍光物質および光感受性物質を放出させるための温熱照準用のレーザー(81Onm)と、リポソームから放出された光感受性物質を励起させラジカルを産生させるための治療用ダイオードレーザー(685nm)の2波長のレーザーを同時に発振できるように組み込むことができた。蛍光眼底造影の画像を高感度CCDカメラで撮影し、エンハンサーで増幅した後にS-VHSテープに録画できるシステムができあがった。この新しい機械を我々はSL-PDTと呼んでいる。リポソームに関しては、41度で相転移するリン脂質であるDPPCを主材料にして、蛍光色素であるカルボキシフルオレセインを内包した温度感受性リポソームをfreeze & thaw法で安定して作成することができた。このリポソームをラットに静注し、温熱用レーザーでリポソームを加温し、漏れ出たフルオレセインで、ラットの脈絡膜血管造影を行った。これまで臨床で使われていた脈絡膜造影であるICGとは異なる新しい蛍光像が得られた。続いてカニクイザルにてもリポソームを用いて、脈絡膜蛍光眼底造影が連続して撮影できた。この結果は、これまであまり進んでいなかった脈絡膜循環の研究に有用であると考えられる。またラットに光感受性物質を静注し、治療用レーザーを照射して、Photodynamic therapy(PDT)を行った。ラット血管をPDTによって閉塞し、血管閉塞モデルを作成した。これにより臨床上見られる、網膜静脈閉塞に近い動物モデルを安定して作ることができた。以上、本年度は新しいPDT用の機械SL-PDTを完成することができた。このSL-PDTと温度感受性リポソームを用いて、ラット及びカニクイザルの脈絡膜血管造影を行うことができた。光感受性物質とSL-PDTの組み合わせにより、PDTで血管閉塞モデルを作成することにも成功した。
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