2000 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌・抗付着性塩基性ペプチド及びプロタミンによる歯周病予防法の開発
Project/Area Number |
11557132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆治 サントリー株式会社, ヘルスケア事業部, 部長(研究職)
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
川端 重忠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50273694)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / 歯周病 / インテグリン / ビトロネクチン / プロタミン |
Research Abstract |
細胞間接着因子であるヒトインテグリンファミリー分子への線毛の結合親和性を評価するために,インテグリンαVおよびβ3のcDNAをそれぞれ組み込んだベクターをCHO細胞へ導入し,インテグリンαVβ3高発現細胞株を樹立した.P.gingivalis線毛(+)株は,線毛(-)株に比してαVβ3高発現細胞株への有意に高い付着能を示し,線毛がインテグリンα_Vβ_3に対して親和性を有することが示された.精製線毛も高発現されたインテグリンαVβ3に対しても有意な結合親和性を示し,さらにビトロネクチンとインテグリンとの相互作用は線毛添加により顕著に阻害された.線毛はビトロネクチンとその代表的なレセプターであるインテグリンα_Vβ_3の両者に対し顕著な結合能を有しており,ビトロネクチンとインテグリンα_Vβ_3との相互作用を強く阻害することが示された.以上の結果から,P.gingivalis線毛は,宿主タンパクと強固に結合し,本菌の歯周組織への定着を果たすとともに,歯周組織の修復に不可欠である接着・伸展・増殖を阻害し,歯周疾患の進行に関与している可能性が示唆された. さらに,線毛と宿主タンパクとの結合に際し,結合阻害活性を有する物質を検索した結果,高プロリン含有タンパク質由来の21残基よりなる合成ペプチドPRP-Cが顕著な結合阻害効果を示した.また,食用天然物抽出物であるプロタミンも同様の阻害能を有していたばかりではなく,P.gingivalisアルギニン特異的システインプロテアーゼの活性阻害効果を示した.また,プロタミンは,ヒト線維芽細胞のDNA合成を3倍にまで促進し,顕著なマイトージェン活性を示した. 本研究の成果は,P.gingivalis線毛の病原性を明らかにするとともに,P.gingivalisが線毛を介して発揮する病原性を,唾液由来ペプチドとプロタミンが有意に阻害することが示され,今後の歯周病予防法において,有力な創薬研究の対象となると考えられた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kuboniwa,M., et al.: "Specific antibodies to Porphyromonas gingivalis Lys-gingipain (KGP) by DNA vaccination inhibit bacterial binding to hemoglobin and protect mice from the infection"Infection and Immunity. 71・5(In press). (2001)
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[Publications] Amano,A., et al.: "Relationship of periodontopathic bacteria with early-onset periodontitis in Down syndrome"Journal of Periodontology. 72・3. 368-373 (2001)
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[Publications] Amano,A., et al.: "Altered antigenicity in periodontitis patients and decreased adhesion of Porphyromonas gingivalis by environmental temperature stress"Oral Microbiology and Immunology. 16・2. 124-128 (2001)
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[Publications] Amano,A., et al.: "Prevalence of specific genotypes of Porphyromonas gingivalis fimA and periodontal health status"Journal of Dental Research. 79・9. 1664-1668 (2000)
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[Publications] Nakagawa,I., et al.: "Distribution and molecular characterization of Porphyromonas gingivalis carrying a new type of fimA gene"Journal of Clinical Microbiology. 38・5. 1909-1914 (2000)
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[Publications] Amano,A., et al.: "Periodontopathic bacteria harboring in children with Down syndrome"Journal of Periodontology. 71・2. 249-255 (2000)