Research Abstract |
本研究の目的は,シェーグレン症候群に類似した唾液腺炎を含めた膠原病疾患群を発症するMRL/lprマウスと発症しないC3H/lprマウスとの交配により背景遺伝子を再構成したマウス,MRL/lpr x(MRL/lpr X C3H/lpr)F1や(MRL/lpr X C3H/lpr)F2マウス群に,唾液腺炎,開節炎,血管炎等をランダムに発症するマウスが存在することを利用して,まず,これらの唾液腺炎の病態,病理形質のマイクロサテライトマーカーを利用したDNA多型とのリンケージ解析を行い,唾液腺炎に関わる感受性遺伝子座を同定することである.これまでの解析の結果、唾液腺炎をきたす疾患感受性遺伝子座が第1,第4,第10,第18染色体上の遺伝子マーカーのD1Mit494,D4Mit199,D10Mit115,D10mit259,D18Mit227の近傍に存在し,これらは個々の遺伝子だけでは効果が弱いが,いくつか組合わさっていくことにより相加的に,かつ階層性をもって発症に寄与し,MRL系マウスの唾液腺炎はポリジーン系疾患であることが明らかになった.さらに,唾液腺炎の発症に関与する可能性が考えられる上記遺伝子マーカーの遺伝子座の近傍に存在する候補遺伝子をNational Center for Biotechnology Information(NCBI)のWebサイトで検索し,これらの候補遺伝子(pore forming protein(Chr.10,36.0 cM),macrophage migration inhibitory factor(Chr.10,40.9cM),lymphocyte Metase 1(Chr.10,43.0cM),glucocorticoid receptor(Chr.18,20.0cM),procollagen,type IX.Alpha 2(Chr.4,53.0CM),nuclear transcription factor-Y beta(Chr.10,43.7cM)等)のプライマーを作成,MRL/lpr,MRL/+,C3H/lpr,およびC3H/+マウスの耳下腺,顎下腺,脾臓,肝臓より,mRNAを抽出,RT-PCR法にて,疾患の標的臓器における疾患感受性候補遺伝子の発現を現在検討中である.
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