1999 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌抑制遺伝子doc-1を用いた遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
11557160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松村 智弘 岡山大学, 歯学部, 教授 (00028747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 和彦 岡山大学, 歯学部, 助手 (20169080)
佐々木 朗 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00170663)
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Keywords | 口腔癌 / 口腔扁平上皮癌 / 遺伝子治療 / doc-1 / 非ウイルスベクター / アデノウイルスベクター / 導入効率 |
Research Abstract |
近年,分子生物学的手法の進歩から,数々の遺伝子疾患に対し遺伝子治療が導入されつつあり,癌においてもその本態が遺伝子変化によって起こることが明らかにされるにつれ,癌治療においても遺伝子治療が取り入れられるようになってきた.本邦でも進行性肺癌患者等に対し癌抑制遺伝子p53を用いた遺伝子治療の臨床治験が行われ,今後癌治療において遺伝子治療が急速に広がることが予測される。これらの最近の癌治療の進歩を鑑みて,口腔癌治療においても癌抑制遺伝子を用いた遺伝子治療が必要になると考えられる。 doc-1遺伝子は米国ハーバード大学(D.T.W.Wongらの研究グループ)がハムスターから単離し,in vitroの実験系で癌の抑性を示すことが明らかにした口腔癌抑制遺伝子でその後マウス,ヒトのdoc-1も単離された。また口腔癌患者の臨床材料では免疫組織学的に約60%にDOC-1蛋白の発現が消失することが明らかにされ,口腔癌に対する遺伝子治療において口腔癌抑制遺伝子doc-1の有用性を示唆する. 今年度は遺伝子治療に必要なベクターの遺伝子導入動物実験モデルの確立について実験を行った。ベクターとして安全性,将来の臨床応用を考え非ウイルスベクターのHVJ Liposome(大阪大学遺伝子治療学講座より供与)選択した.遺伝子導入実験モデルはヌードマウスの舌にヒト口腔扁平上皮癌由来細胞株(HSC3)を移植し,一週間後,舌癌を形成させたのち,ベクターにLAC-Zレポーター遺伝子を組み込み,ヌードマウスに形成した腫瘍組織に注入した。遺伝子注入2週間後に腫瘍組織を取りだし,病理組織学的標本を作製しX-gal染色を行い注入遺伝子の発現効率を検討したが,このベクターのうちアイオニックよりカチオニックの方が発現効率が高かったが,治療用ベクターとしてはいずれも非常に低かった。これらの結果から癌細胞への遺伝子導入に関して現在ベクターをアデノウイルスに変更し同様の実験を行っている。
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