1999 Fiscal Year Annual Research Report
マラリアが流行する熱帯地域で使用する簡便かつ高感度なマラリアDNA診断法の開発
Project/Area Number |
11557183
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
綿矢 有佑 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90127598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 惠淑 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (70314664)
木村 幹男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90114462)
|
Keywords | DNA診断 / マラリア / 熱帯熱マラリア / 三日熱マラリア / 四日熱マラリア / 卵形マラリア / 18S rRNA / 多型 |
Research Abstract |
我々は18S rRNA遺伝子に変異を持つ新型卵形マラリア原虫を見出した。この原虫は顕微鏡法では形態学的に卵形マラリア原虫と区別できないが、DNA診断法では陰性を示した。これはDNA診断法のターゲット領域である18S rRNA遺伝子に変異を有していたためである。この原虫の18S rRNA遺伝子の全塩基配列を決定し、さらに感染赤血球内でのステージで転写している18S rRNAを解析した。 顕微鏡法とDNA診断法を用いることにより、6例の新型卵形マラリア原虫を検出した。これらは18S rRNA遺伝子中のDNA診断法のターゲット領域で、全て同一の変異パターンを有していた。このうち推定感染地がマリである患者の血液からDNAを抽出し、18S rRNA遺伝子全長の塩基配列を決定した。18S rRNA遺伝子の保存領域に設けたプライマーによるPCR増幅産物(上流側約1.2kbp、下流側約1kbpに分けてPCRを行った)をプラスミドにサブクローニングし、ダイターミネーター法により塩基配列を決定した。その結果、3タイプの配列が得られ、18S rRNA遺伝子には多型があることが判った。近年、マラリア原虫のいくつかの種でヒトやハマダラカでの感染時において異なったタイプの18S rRNAが転写されるという報告がなされている。今回我々が見出した3タイプの配列のいずれかがヒトあるいはハマダラカでの感染時に転写されるRNAをコードしていると考え、同マラリア患者の血液より抽出したRNAを用いて、RT-PCRを行い18S rRNAのcDNAを増幅した。PCR増幅産物のサブクローニングの結果からこの原虫の赤血球中に感染しているステージでは3タイプのうち1つのタイプの18S rRNAのみが転写されていることが示された。この配列を決定することにより我々のDNA診断法を完成することができた。
|
-
[Publications] 綿矢有佑: "マラリアのDNA診断"医学のあゆみ. 191. 67-73 (1999)
-
[Publications] M. Kimura: "In appropriate Use of Mosquito Bet Nets in the Prevention of Malaria: Lessons from a Familial Case of Ovale Malaria"Travel Med.. (in press).
-
[Publications] H.-S- Kim: "Synthesis and antimalarial activity of cyclic peroxides, 1,2,4,5,7-pentoxocanes and 1,2,4,5-tetroxanes"J. Med. Chem.. 42. 2604-2609 (1999)
-
[Publications] H.-S. Kim: "A potent in vitro antimalarial activity of 3,15-di-O-acetylbruceolide against Plasmodium berghei infection in mice"Pcirasitol. Int.. 48. 271-274 (2000)
-
[Publications] H.-S. Kim: "Cycloprodigiosin hydrochloride obtained from Pseudoalteromonas denitrificans is a potent antimalarial agent"Biol. Pharm. Bull.. 22. 532-534 (1999)