2000 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルソリン遺伝子を用いたヒト膀胱癌に対する遺伝子標的療法
Project/Area Number |
11557187
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
葛巻 暹 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80091445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 信雄 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (90250422)
藤田 寿一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (30212187)
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Keywords | ゲルソリン / 膀胱癌 / 遺伝子治療 / アデノウイルス / ヌードマウス / β-gal |
Research Abstract |
膀胱癌の初期治療時に残存した癌細胞へ癌抑制機能を持つゲルソリン遺伝子をアデノウイルスベクターに組み込み移入して完治を目指す遺伝子標的治療法を、マウスのオルソトピックモデルにおいて検討した。 1.ゲルソリンアデノウイルスベクター(Ad-GSN)感染によるヒト膀胱癌細胞株KU-7での細胞周期の変化を検討するために、Ad-GSN感染前後でのDNA分布をフローサイトメトリーによって検討した。Ad-β gal感染細胞では、細胞周期の変化はわずかであった。一方、Ad-GSN感染細胞では、G2/M期が18.8%から28.4%へと増加したのに比べ、G1/Sは70.4%から56.8%へと減少していた。これらの結果は、Ad-GSNによる細胞増殖抑制効果が、G2/M期での細胞周期の延長または停止によるものであることを示した。 2.KU-7をヌードマウスの膀胱内に経尿道的に移植し、1×10^9PFUのAd-GSNまたはAd-β-galを3日間経尿道的に投与した。10日後に犠牲死させ、膀胱をホルマリン固定ののちHE染色を行い、各腫瘍の面積をNIHimageにて測定したところ、Ad-GSN投与群では、Ad-β-gal投与群に比べ腫瘍面積が約9分の1に縮小しており、昨年の結果を再確認できた。 以上のことから、ゲルソリンアデノウイルスベクターは、ヒト膀胱癌細胞株のin vitroおよびin vivoでの増殖を抑制し、膀胱癌に対する遺伝子治療に用いられる可能性が示された。
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