2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道法とニューラルネットワークを基盤とした薬物吸収予測システムの開発
Project/Area Number |
11557192
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
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Keywords | 経皮吸収 / 構造動態相関解析 / 多変量解析 / 分子軌道法 / ニューラルネットワーク / 皮膚拡散モデル / 基剤物性 |
Research Abstract |
医薬品に対する社会のニーズが多様化かつ高度化していく中で、その開発においても薬物の分子設計から最終的な製剤設計までを論理的かつ合理的に遂行することが強く意識されている。こうした中で分子の三次元構造に基づく薬物分子設計も試みられるようになってきたが、実際の薬物治療を考える上では、単に薬物の受容体への結合性のみならず、薬物が投与部位から薬物受容体までに到達するまでの過程すなわち体内動態も重要な因子であり、これらを含めた総合的な議論が必要とされる。そこで、本研究では、従来より申請者のグループが精力的に研究を行ってきた薬物経皮吸収に焦点を絞り、分子軌道法を利用した薬物分子構造/物性の解析とニューラルネットワークを応用した構造/物性/動態の解析に基づき全く新しい経皮吸収予測法を開発した。種々の薬物の皮膚透過性を測定した上で、これらの透過を申請者らが過去に確立している皮膚拡散モデルに基づいて薬物の皮膚透過に関与する物理化学的パラメータ(皮膚への分配係数と皮膚中での拡散係数)を評価した。こうして得られた皮膚透過パラメータと分子軌道計算から予測される薬物の物性との定量的な関連を整理した。さらに、各種物性の異なる基剤系において皮膚透過を評価し、皮膚拡散モデルに基づいた解析を行い、各種基剤の誘電率との関係を見出し、普遍的な経皮吸収予測モデルを構築した。本研究成果は、これまで経験則に基づき膨大な時間と労力を払いながら進められてきた薬物分子の探索から製剤設計、とりわけ後者の開発段階の合理化に大いなる貢献が期待される。
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Research Products
(1 results)