2000 Fiscal Year Annual Research Report
筋細胞微細器官の三次元モデル構築及び筋収縮時における構造変化のリアルタイム観察法
Project/Area Number |
11558003
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
竹倉 宏明 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (00206963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 規克 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (60152659)
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Keywords | 骨格筋 / 興奮収縮連関 / 筋小胞体 / T管 / 電子顕微鏡 / 筋収縮 / 筋細胞内膜系 |
Research Abstract |
骨格筋の興奮収縮連関に関与する筋細胞内膜系(横行小(T)管系と筋小胞体:SR)及びカルシウム(Ca^<2+>)チャンネル(ryanodine receptor)を可視化し、電子顕微鏡、共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡によって観察する方法を収縮中の骨格筋に応用した。厚い切片を作製して筋細胞内膜系の立体構造の変化についても、高圧電子顕微鏡を用いて加速電圧200KVにより観察した。分化が終了した哺乳類骨格筋細胞の場合、T管はA-Iジャンクション付近に横断方向に極めて規則正しく位置しているが、収縮中にT管はZ線方向へ移動し、同時にトライアドもZ線方向へ移動するのが観察された。その移動距離はサルコメア長に反比例し、サルコメア長が長いほど移動距離が短い傾向が認められた。また、筋細胞の表層部分の移動距離が深層部の移動距離より長いという傾向が認められた。さらに、神経筋接合部から距離が離れるに従って、移動距離が短くなる傾向が観察された。収縮中のCa^<2+>放出の状態を可視化して観察した結果、サルコメア長に依存したCa^<2+>放出様式の変化は認められなかった。また、サルコメア長に比例してトライアドを形成している部分のT管容積が増大した。サルコメア長の増加に伴うT管容積の増大と、興奮伝達速度の関係、T管とSR間の情報伝達機構の変化、等については不明であり、今後の検討課題である。トライアドにおけるT管とSRの終末槽(TC)間の距離はサルコメア長によらず常に一定であり、Ca^<2+>チャンネルの形態的変化も観察されなかった。Ca^<2+>チャンネルはCa^<2+>放出時に数度回転し、TC側が開孔することでCa^<2+>を放出することが報告されているが、収縮時のサルコメア長との関係についても今後の検討課題である。不活動や伸張性筋収縮の繰り返しによって内膜系の特殊な複合体が形成されるが、これらの内膜複合体の収縮中の立体構造変化についても現在検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Protasi,F.,Takekura,H.,Wang.Y., et al.: "RyRl and RyR3 gave different roles in the assembly of calcium release units of skeletal muscle."Biophys.J.. 79. 2494-2508 (2000)
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[Publications] 平野朋枝,春日規克: "伸張性収縮より引き起こされる筋線維の損傷-骨格筋の構造及び筋線維タイプとの関係から-"岡崎短期大学紀要. 33. 143-150 (2000)
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[Publications] 春日規克,山下晋,小笠原仁美 他: "加負荷式回転車輪によるラット自発走特性と骨格筋への効果."体力科学. 48. 99-110 (1999)
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[Publications] Takekura,H.,Kasuga,N.: "Differential response of the membrane systems involved in excitation-contraction coupling to early and later postnatal denervation in rat skeletal muscle."J.Muscle Res.Cell Motility. 20. 279-289 (1999)
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[Publications] 竹倉宏明(分担執筆): "運動分子生物学"大日方昴(監修),山田茂,後藤勝正(編集)有限会社ナップ(発行). 305 (2000)