1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11558007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
勝田 啓子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50093555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 曜一 UBM, 研究所, 主任研究員
上田 隆信 日本ペイント, 解析技術研究所, 研究部長
松本 幸雄 大阪府立大学, 農学部, 名誉教授 (70081502)
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Keywords | ハイドロゲル / ゲル中の水 / 水の運動性 / 誘電緩和 / 力学的ゲル化点 / FT-RM / パルス-NMR / 熱伝導率 |
Research Abstract |
食品分野においてゲルはそれ自体が食品(ゼリー)となるだけでなく、主として水を分散媒とした不均質多成分の濃厚分散系と定義すべき食品の調理・加工特性を明らかにする上での格好の食品モデルとなる。そこで、高分子水溶液がゾルから固体状態のゲルに転移するのは、化学反応ではなく、物理的な状態変化であり、状態変化する駆動力は何か?を考える場合、高分子体そのものでなく、量的に大部分を占める水の分子運動をこそ考慮すべきであるとの観点にたち、物理的変化である状態変化を捉えるために、ゲルの状態変化の過程での物性定数の算出を試みることとした。 まず、ゲル中の水の誘電率測定のためにヒューレット・パッカード社のインピーダンス・アナライザーを購入し、測定条件整備のために、他分野の識者(高分子科学、農学領域)の意見を調査・収集すると共に、予備実験を重ねた結果、ゲルの支持体である高分子鎖に由来する誘電率でなく、ゲル中の水の誘電率を観測するためには、ヒューレット・パッカード社のオプション電極ではなく、電極自身を設計・試作する必要が有ることが判明した。次年度以降の測定目指し、目下電極を作成中である。 一方、ゲル化という反応過程で、力学的ゲル化点を正確に測定するために、フーリエ合成波による粘弾性の周波数分散同時測定(FT-RM)システムを構築し、勝田現有の粘弾性装置に連結し、測定を開始した。その結果、室温にまで却されている間の寒天やジェランガムのゾル〜ゲル化点の算出に成功した。さらに、試作熱伝導率測定装置の改良に着手し、ほぼ完成をみた。そして、パルス-NMRを用いて、寒天ゲルの糖添加、無添加系のスピン〜格子緩和(T1)、スピン〜スピン緩和(T2)の測定を行い、糖の混入によりゲル中の水の運動性が抑制されていることを明らかにした。
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