2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11558007
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
勝田 啓子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50093555)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 曜一 UBM, 研究所, 主任研究員
上田 隆宣 日本ペイント, 解析技術研究所, 研究部長
松本 幸雄 大阪府立大学, 農学部, 名誉教授 (70081502)
|
Keywords | ハイドロゲル / ゲル中の水 / 水の運動性 / 誘電緩和 / 力学的ゲル化点 / FT-RM / DSC / 熱伝導率 |
Research Abstract |
ゾルからゲルへの転移は、状態変化であり、その変化の駆動力は、高分子体(ゲル化剤)の運動性ではなく、量的に大部分を占める水の分子運動によるとの観点にたち、ゲル化過程での物性定数の算出を試みた。 誘電率測定のために購入したヒューレット・パッカード社のインピーダンス・アナライザーでゲル中の水の誘電率を観測するためには、メーカーのオプション電極では不可能であり、電極自身を設計・試作する必要が有ることが昨年度明らかになり、本年早々に液体試料用の電極開発に着手し、試作電極作成に成功した。そして水が測定可能(誘電率約78で文献値と同じ)であることが確認でき、ゲル化剤だけでなく、水を構造化する糖類など低分子物質の溶解により、誘電率が低下し、誘電緩和が長時間側にシフトすることを明らかにした。しかし、ゲル中での水の緩和を明らかにするには、ゲル化剤/水系での水の寄与分を差し引いて高分子体の緩和との比較が必要である。現在、誘電緩和にからむ最終段階として、水の寄与分の修正法を検討している。 一方、ゲル化という反応過程での力学挙動に関しては、特に合成波印加という新規な測定法での周波数分散同時測定により、寒天の降温過程のゾルーゲル転移点、澱粉では昇温過程のゾルーゲル転移点の定量化にほぼ成功した。力学パラメータの妥当性検証の為に、ゾルおよびゲルの熱伝導率を測定するだけでなく、DSC測定も試み、ゲル化・溶融プロファイルとして整理可能であることを明らかにした。次年度は他の多糖類、そしてタンパク質ゲルを用いて熱可逆、熱不可逆ゲルさらには等温自発ゲルについて測定を行い、研究を完成させる予定である。
|